西会津町勢要覧 -013/022page

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創る agriculture

五十嵐隆一さん
五十嵐林業専務 五十嵐隆一さん
『安全でおいしい作物を出荷したい』

江川誠作さん
農業 江川誠作さん
『土に触るとホッとするんです』

 ――お二人がお作りになっているものは?

江川 「米を中心に、あとは野菜です。自分の家でつくったものを安心して食べられるというのは、農家をやってていいところですね」

五十嵐 「うちでは、チップ生産のほか、冬場は木材を有効利用してシイタケの栽培をしています」

江川 「私が今、力を入れているのは、"特栽米"なんです。コシヒカリとひとめぼれの二品種を作っていますが、米袋に生産者の名前を入れて、市場に 出荷できるんです。おいしければ、また名前を見て買ってもらえると思うと、意欲が湧いてきます」

五十嵐 「私も奥川の景色と、私の名前を入れた出荷用の箱を作ろうかと考えているんです。シイタケもみな同じじゃない。スーパーに並んだ時、わざわざ選んで買ってもらえるような質のいいものを作ろうと頑張っているんです」

江川 「名前を入れるということは、作る側は自信を持って生産できるし、食べる側も安心して購入できるのではないでしょうか」

五十嵐 「これからも西会津町から、各地の人に食べてもらえる、安全でおいしい作物を送り出していきたいですね」

 ――農業も林業も自然を相手にしたお仕事と言えますが?

江川 「厳しい面も多ぃです。でも、土に触るとホッとするんです。雪の頃ってのは、本当に土が恋しくなる。農業をやってて、いちばんいい時期は、四月と五月。機械に乗って、しろかきをしながら辺りを見ると、茶色の枝だけだった木に、うっすらと緑の芽が出てきて、それが毎日濃くなっていく。田植えを終えたあぜ道の真ん中に立って、ぐるりと見回すのは、もう最高。それからは、畑の方も忙しくなるから景色に見惚れる余裕もなくなってくるけどね(笑)

五十嵐 「山の中の仕事では、秋がいいんですよ。紅葉もきれいだし、なんといっても、いろんなキノコがあちこちに出て楽しい。時々子供たちを連れていくこともあります。父親が子供を遊ばせながら仕事ができるなんて、会社に勤めてたら、そうできることじゃないと思いますよ」

江川 「気の合った人と道で行き合うと、そのまま稲を見ながら一時間もしゃべる時もあります。一方では台風がくれば、昼も夜もなく、田んぼに飛んで行かなくちゃならないけどもね」

五十嵐 「空気のきれいな中で、時計の針の動きじゃなく、季節の移り変わりとともに暮らしていけるのは、気持ちの上でも、体の上でも健康的なことかもしれませんね」

挿絵 きのこ&稲

西会津町

西会津町は、福島県の北西部に位置し、面積は298.13平方キ口メ―トル。8割以上が山地 となっています。気候は、典型的な裏日本型であり、夏は高温多湿ですが朝晩は涼しく高 温期間も比較的短い。阿賀川沿いに広がる平坦地では、水稲と野菜の複合経営を推進し、 機械化・集団化による経営規模の拡大を進め、中核農家の育成を図っています。また、山間 地域は、その立地条件と豊富な森林資源を生かした山菜、菌茸類などの省力作物を組み合 わせた農林産物複合経営を進めています。また、健康をテ―マとした農作物の商品開発や 漢方薬草等の生産により、新たな分野で農業の活性化を図るとともに、心身を健康にする 環境緑化木の植栽も推進しています。


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西会津町の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。