西会津町勢要覧 -017/022page

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挿絵 酒

◆ 酒造の神様のおひざもと。

 口ーマ神話ではバッカス、ギリシャ神話ではディオ二ソス……。いつの時代にも、どんな場所にも酒造を司る神がいて、酒は神聖なものとして崇められている。

 西会津町の松尾に祭られる松尾神社は、古い時代から信仰を集める酒造の神様。戦前までは会津一円はもちろん越後まで、酒どころの酒造家たちの信仰の的となっていた。境内の御神水を汲んで帰って神棚に捧げると、その年もいい酒ができると、御神水をいただきに来る酒造家が今もいるという。

 西会津町では酒造の神様のおひざもとのごひいきか、旨い米、旨い水、たしかな杜氏の三拍子が揃って、いい地酒が毎年できる。

挿絵 ソバ

◆ 究極のそばグルメ。

 西会津町では、ハレの日や祝いごとがあるにつけ、自家製のソバを打って食べる。だから、味や喉越しは、三軒あれば三軒とも違う。結婚式が家で行われていた頃は、酒宴の席で必ずソバが振る舞われたもので、来客はその家に伝わる良い味に、若い二人の良い縁をかけたりして、ソバの賞め言葉の口上をぶったほど。

 とにかく、ソバが日常に切り離せないので、食べ方も、普通、ソバ屋ではお目にかかれないものがある。大根のおろし汁に醤油を入れ、薬味にネギを加えたタレにソバをつけて食べる「高遠ソバ」。ソバ粉をお湯で練り、ネギみそやゴマみそをつけて食べる「ねっかいもち」。どちらもソバの味が主役のシンプル・イズ・べスト。

挿絵 コヅユ

◆ コヅユは何よりのごちそう。

 小さい子の口には、あまり魅力的でないが、年をとるほどに「やっぱりこの味!」と恋しくなってくるのが、野菜をたくさん入れてつくるごった煮汁のようなものではないか。西会津町でこれにあたる郷土料理にコヅユ(小汁)がある。コヅユは正月、盆、祭り、冠婚葬祭には、必ずつくられるハレの料理でもある。

 材料は、人参、里芋、大根、ゴボウ、キクラゲに、つと豆腐と呼ばれる豆腐をスダレに巻いて穴が開くまで煮たものを入れる。ダシは帆立貝の貝柱でとるのが特徴。野菜やつと豆腐の切り方は、町の方は比較的細かく、山の方に行くほど大きくなるとか。コヅユは、よそに出た子供たちが戻ってきて食べたいお袋の味ナンバーワンだ。


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西会津町の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。