鮭立磨崖仏 - 130/135page

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  発刊のことば

山入近隣会会長 中 丸 末 雄

 『鮭立磨崖仏』は私たち山入の遠い先祖が残して置いてくれた珍らしい、しかも美しく貴い文化財です。

 実は私たち山入の人々は、長い間「磨崖仏」という名前も、いわれも、勿論その文化財としての価値も知らず、昔からの一寸珍らしい仏様だか、神様のお姿が岩に刻まれているくらいに思っていました。

 ただ、「ほろしの神様」で、麻疹(はしか)や猩紅熱、また蕁麻疹(じんましん)などにかかると、豆腐を半丁持って平癒祈願をし、治るとまた半丁を持ってお礼参りをすることで知られていました。

 それが最近になって、役場や教育委員会によって、その道の先生方の調査が行なわれた結果、金山町はおろか、広く日本中に対しても誇り得る磨崖仏であることを知らされ、驚きと共に非常に嬉しく思うようになりました。

 私ども「山入近隣会」は、昭和四十八年、金山町における学校統合の施策によって、明治以来100年近く、地域和合のシンボルでもあった山入分校がなくなることと、なったのを機会に、山入川に沿って遠い先祖以来住みついた七つの部落(昭和四十四年水害で五部落となる)の地域の特性、共通する生活の場、和合・親睦の住民意識がこわれては大へんだという心から、土の中から涌き出る清水のような自然のみんなの


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