伊南村の文化財(第一集) -010/029page

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木造阿弥陀如来坐像

木造阿弥陀如来坐像

 本仏は恵向僧都の作と伝えられるが銘はな い。藤原時代の名作にして俗に黒仏様と称し、 古い歴史と伝説に富む御仏である。
 この像は、善導寺の本尊で、宝永元年京都 より下されることとなり、第九世愚誉和尚の 時の古町村大山家よりお迎えのため京に登っ たが不幸にして近江にて急死した。それで弟 大山六左衛門が代って京に登り正徳元年辛卯 歳七月十日善導寺にお迎え安置した。
 当仏は全体が墨で塗られており、俗に黒仏 様として崇敬されている。今禿げた所は金色 燦然と光りを放っている。その昔、これは余 りに有難い御仏のためお迎え途中危難に逢う ことを恐れ金色の玉躰を墨で塗り潰したと伝 えられる。また一説には当仏は唐より渡来の 御仏で海を渡るとき、龍神の眼をくらますた め墨を塗ったとも伝えられる。高さ一・〇四 メートル、後背を附した大仏で交通不便の二 百年の昔どうして京都より運んだのか、謎と されている。本尊は桧の寄木造り、豊かな頬、 彫りの浅い衣文、藤原期の特徴を現し、江戸 期の会津仏師に大きな影響を与えたとされて いる。

 県 指 定 重要文化財
 所 在 地 伊南村大字古町字東居平七十三番地
 管 理 者 成宝山善導寺
 指定年月日 昭和33年 8月 1日


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