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21世紀の世界に羽ばたき、生き抜く子どもたちとともに
あいさつ 福島県教育委員会教育長 高 城 俊 春
近年、子どもたちの規範意識の低下などによる様々な問 題行動が深刻化する中にあって、子どもたちに望ましい社 会活動をする上で必要となる力を身に付けさせることが 強く求められております。また、こうした状況の背景とし て、人との関わりや自然とのふれあいなど、子どもたちの 社会体験や自然体験が著しく不足していることが指摘さ れております。
このため、本県では平成10年度から、子どもたちの道 徳的実践活動に取り組む意欲を高めるとともに、学校・家 庭・地域社会が連携して豊かな体験活動の場を提供し、日 常生活における具体的な実践に結び付く道徳的実践力の 向上を図ることを目的に「福島県道徳的実践活動推進事 業」に取り組んでまいりました。
今年度は、この事業の一環として、浪江町において「福島 県道徳教育振興会議」を開催しました。委員の方々におかれ ましては、学校の道徳の授業を参観するなど、目の前の児 童生徒の実態や学校における道徳教育の実情に直接ふれる とともに、子どもたちの豊かな体験の場を拡充するための学 校・家庭・地域社会の役割について熱心な討論を重ねていた だき、この度、素晴らしい御提言をまとめていただきました。
委員の皆様はじめ、全面的な御支援を賜りました浪江町当 局並びに浪江町教育委員会に対し、厚く御礼申し上げます。
県民の皆様には、この貴重な提言を御理解いただきます とともに、それぞれの地域や立場で、子どもたちの道徳性 を高めるため、思いやりの心などを育む場や機会を提供し ていただくとともに、励ましの言葉をかけていただき、子 どもたちが人間としてよりよい生き方を学ぶことができ るよう一層の御協力、御支援をお願いいたします。
生涯にわたり、心を育て続けるために 福島県道徳教育振興会議会長 菅 野 正 敏
景気低迷の中でももののあふれる便利さを求める生活、少 子化が続いていても変えたがらない家族志向の弱さ、価値観 の多様化を制御せずに容認するあまり、変化する社会の様々 な問題への解5央が後回しになるなど、対応に硬直性ともどかし さが残り、心を育てる価値の高まる中、21世紀最初の1年が 経過しました。小中学校ともに新学習指導要領本格実施の年 を迎え、また高等学校も次年度移行最終年度の年になります。
道徳教育振興会議では、子どもたちが自信を持って明る い希望と夢を語り、他とのよい関係づくりこそが自分の人 生を確かなものにすることを、またそのために地域社会・ 家庭・学校がそれぞれの役割と責任を認識し、強く連携し、 踏み出すことの必要性を再確認しました。
子どもは、仲間や自然との関わりの中で、様々な体験や 経験を通して生きる力を身につけてまいります。芸術、文化、 スポーツ、経済生活等について大人は子どもに体験や経験 の価値ある場を設け、その扉の中に子どもを招き入れるよう に努め、それがかなり成功を収めてきたことは確かです。
しかし、心のあり方を磨き、高め続けることについては、価 値ある場を十分配慮していると言えないところがまだありま す。現在、子どもたちが地域に支えられていると感じた り、地域の文化や自然に接したりすることは確かに少なく なってしまっています。
触れあい、心が通い合い、心がつながることを大事にす る意識もずいぶん弱まっています。心を生涯にわたり磨 き続け、育て、後人に示す価値あるものとしては十分とら えていないところがあります。
地域社会や家庭や学校が子どもたちのために「ふるさと の歴史を学ばせ、美化環境を考えさせ、よさを味わわせ る。子どもの顔が地域の多くの人たちに知られることが 大切。」「あいさつは心の言葉のキャッチボール。触れあい は子どもたちに勇気、自信、耐性を育む」「素直な心を持 つ子どもを育てたい。夢は生きる三原であり力である。つ ながり、結びつきを深め大事にしたい。」など多様な視点か ら議論を重ね、検討し、働きかける提言をまとめました。 地域社会・家庭・学校が手を携えてそれぞれやれること から一歩を踏み出し、21世紀の世界に羽ばたき、生き抜く 子どもたちとともに笑い、夢を語り、心を育み続ける実践 を着実に推進されることを願っております。
平成13年度福島県道徳教育振興会議委員名簿
(会)会長 (副)副会長 (各)各委員長(50音順)
氏名 委嘱時の職名 氏名 委嘱時の職名 (会)菅野 正敏 浪江町立浪江中学校校長 牛来 紘子 浪江町公民舘運営審議会委員 (副)(各) 泉田 重章
浪江町立浪江東中学校PTA会長 佐藤 寿明 福島民友新聞社浪江支局支局長 (各)佐藤 一男 ボーイスカウト福島第77団育成会長 新谷 保基 浪江町新町商店会会長 (各)紺野 芳雄 浪江町スポーツ少年団指導者連絡協議会会長 鈴木喜美子 浪江町ボランティア連絡協議会いきいきサークル代表 安部 拓志 浪江町教育委員会教育委員長 平子かおる 福島県立浪江高等学校PTA評議員 氏家 淳 福島民報社浪江支局支局長 根岸 弘正 浪江町教育委員会事務局教育総務課長 大杉 喬 東北電力釜Q江・小高原子力準備本部本部長 根本 清己 浪江町立大堀幼稚園保護者会副会長 大谷 隆英 学校法人大谷学園浪江幼稚園理事長 原 順一 福島県立浪江高等学校教頭 大和田明美 浪江町立浪江小学校PTA副会長 半谷 一芳 浪江町立苅野小学校教頭 菅野 亜夫 救護施設福島県浪江ひまわり荘園長 持舘 正広 浪江警察署刑事生活安全課生活安全係長