自然観察ガイドブック 五十人山の自然 -026/032page
らわれている。
畑川破砕帯は、阿武隈山地が大規模な隆起をした力のあらわれでもあり、地質もこの東と西とでは異なっている。
草地と風
山頂の二つの丘の間には、2haほどの草地が広がっている。かつてはここで馬の放牧が行われていたらしい。馬は風通しのよい高原の草地をえらんで群をつくるが、そういう土地は過放牧となりススキ原からシバ原へと遷移することが知られている。
草地となった低地は、まわりの丘よりも侵食がわずかに弱く働いたために形成されたものだが、丘に比べて樹木が極端に少ないのは馬の放牧ばかりが原因ではない。
この低地は、両方に開いたゆるやかな谷となっており、北西からの風が常に吹き抜けている。特に北西季節風の吹く秋〜冬はすさまじいであろう。その証拠に、低地の木々はみな偏形樹となっている。(偏形樹:常に吹く風の中で成長を続けたために、風の方向にそって変形した樹木。程度によって風の方向と強さが推定できる。)
山頂は日射しも強く、また常に風が吹いていると、水分の蒸発が激しい。枯れ葉はなかなか腐食せず土
低地のすみ(南東側)にある偏形樹群と草地
公衆トイレの手前の草地はかなり乾燥している。
風は左手から右手へ吹き抜ける。
遠景はカコウ岩地帯特有の山様。(ジュータンのシワのよう)
強く偏形したマツ
偏形の方向は谷(低地)の方向と一致する。
付近のマツも寒風害をうけている。