自然観察ガイドブック 五十人山の自然 -027/032page
草原の中心にある木
これも偏形樹。まわりは木もまばら。
偏形の方向は谷の方向に一致する。
壌ができにくい。できた土壌も乾燥して、草はともかく、樹木の生育には不適である。そのため、低地は草地のままなかなか木々が増えないと考えられる。
日当たりの良いところを好むツツジでさえ低地の中央(最も風が通り乾燥しやすいところ)には生えていない。
風化するカコウ岩―真砂(まさ)
五十人山をつくっている岩石は、カコウ岩である。カコウ岩は一般には「御影石(みかげいし)」と呼ばれ、現在の神戸市御影産のものに名の由来がある。カコウ岩は大きな建築物や床、柱の建材として用いられている。豊臣秀吉は、大阪城の石垣に播磨(現在の兵庫県)産のものを用いたが、これは当時としても大変なぜいたくであった。
建材としてのカコウ岩は、丈夫で固く、永年の風雪に耐えるということで用いられ、実際そういうものは老朽しない。しかし、実はカコウ岩も風化し、はなはだしい場合は粉状の砂となる。これを「真砂」とよんでいる。
葛尾中学校前のカコウ岩露頭
深部まで均一に風化している真砂。
掘削は容易だがボロボロとくずれやすい。