自然観察ガイドブック曰山の自然 -003/031page

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3 曰山の植物             

まったく停止するに及んでいる。それでもな お、薪炭林とシバ草地はあまり変わらないま まに残っている。しかし、火入れと刈り取り の行わなくなったススキ草地は急速な変貌を とげたものが多い。現在の阿武隈山地によく 見かける若齢のコナラ林や、ヤマハギ、タニ ウツギなどを主とする低木林は、このススキ 草地から変化したものが多い。

 阿武隈山地では、もちろん植林も盛んに行 われている。概して、乾燥・貧栄養の斜面上 部ではアカマツ、湿潤・富栄養の谷筋ではス ギが植林されている。また、標高6 00m以上の 高地ではカラマツの植林も盛んである。この ような植林事業は、薪炭林や草地の経営とは 異なり、昨今になっても息長く続けられてお り、各種用材の国内自給を目指している。

 それでは、これらの人為を受ける以前の、 阿武隈山地の天然自然の植物群とはどのよう なものなのであろうか。これについては、確 かな自然林の残存例が少なく、詳しいことは 不明である。しかし、概況としては次のよう にとらえることがけきる。

 奥羽山地以西の標高700〜800m以上に一般 的であるブナ林は、阿武隈山地の同じ程度の 標高の所でも一般的な自然林であった。ただ

ブナ
[ブナ] 曰山の東北尾根の上部に僅かに残り、この辺りの潜在自然植物がスズタケーブナ群団に属することを示している。

し、それは奥羽山地以西に見られるような、 林床にチシマザサの繁茂するタイプのブナ林 ではなく、スズタケ型のものであった。  また、標高700〜800m以下の準平原の大部 分を覆う自然林は、現在の薪炭林とそう違わ


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