自然観察ガイドブック曰山の自然 -004/031page
4 曰山の植物ないコナラ林であったと見られる。ただし、 尾根筋にはアカマツが優勢であり、谷筋には イヌブナが多かったであろう。
阿武隈山地の多くの植物群は、このような 自然林は長い間の人為を受けて変化したもの である。いま日本の経済はその版図を世界に 拡げそれに伴って人々の生活も、山野の資源 の価値も内容も大きく変わりつつある。しか
[スズタケ] 人為が入った所では急速に消滅 するササの仲間。棹をすっかり覆っている葉 梢に剛毛が密生している。し、以前は、この草深い山ふところではわれ われの祖先達の生業が真剣に展開されていた し、都会の生活もその産物による所が多かっ た。その事実は、人為によって変貌した植物 群のなかに刻まれている。
標高1057mの曰山は、北阿武隈第一の高峰 であり、そのなだらかな山容は、北阿武隈の どこから見ても天空に接して横たわる。それ は、我々の父母が、祖父母が生活の拠りどこ ろとした自然の象徴である。曰山はふるさと
曰山神社と三匹獅子
曰山の路は、登り口でいえば、田沢、茂原、 移、葛尾、南津島、山木屋の6ヶ所がある。 この6本の路は、途中で茂原道と移道が、ま た葛尾道と南津島道が合流し、4本となって 頂上で一点に合流する。その頂上は平坦な広 い茂原になっており、3つの社がそれぞれ勝 手とも思える方向を向いて建てられている。 それは、田沢、茂原、葛尾の社で、それぞれ の道の終点に、それぞれの方向を向いて建て られているのである。
曰山は準平原に立つ残丘である。その頂上