自然観察ガイドブック曰山の自然 -019/031page

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19 曰山(天王山)の動物

ある。だから常に清潔を保ち、自然を大切に したいものである。

 山頂にはアキアカネやハナアブなども多く、 夏期は平地から吹き上げられるアゲハ、キア ゲハなども飛翻する。また稀にフワフワと風 に乗るようにしてアサギマダラが飛んでくる こともある。

 アサギマダラは阿武隈山地では珍らしい種 類の一つで、曰山の他には霊山で確認されて いる。元来南方系の種類でいつの時代にか日 本に土着したものと思われるが、福島県内で は1,000m以上の高地でしか見られていない。

 帰化した後どのような理由で高い地域に住 みつくようになったかは知る由もないが、食 草であるカモメヅルやオオカモメヅルなどの ガガイモ科の植物は平地にも分布していると ころからすると、その分布には植物以外に気 温など他の要因も深く関係しているものと考 えられる。

 曰山では登山路入口からすぐの水場付近に もよく現われ、7月〜8月にかけてはかなり 個体数も多い。

 山頂の芝生の周辺はヤマツツジの群落とな り、初夏の花の時期がひとしお景観を引き立 たせることが偲ばれる。低木の間からはウグ

ヤマガラ
ヤマガラ

イスの地鳴きがあちこちから聞かれ、アカハ ラかツグミのようなやや大型の鳥が一直線に 飛び、春から夏にかけては鳥相も豊かである ことが推察される。

 山頂から茂原方面に下りる小路はツツジの ブッシュがしばらく続き、やがてウリハダカ エデ、リョウブ、コナラなど広葉樹林になる。

 所々に花崗岩の巨大な石組みがあり、胎内 くぐりなどと呼ばれている。この付近の秋の カエデの紅葉、春の新緑は美しい。樹間にはジ ャノメチョウ類も多く、足元からひらひら舞 い立つ。斜面を下りた所に水飲場がある。登


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