大熊町民話シリーズ第1号 民話 苦麻川-000_03/055page
あ と が き
民話、苦麻川(くまがわ)として整理しましたが、実のところ地域にのこる民話と伝承のなかから、代表的なもの二十四話をとりあげたものです。苦麻川と名づけたのは、大熊地域が一番古く古文書にあらわれた地名であり、苦麻川(熊川)流域に拓かれた文化だからです。
物語りを整理するうちに、あゝ、この話も幼い頃に母の寝物語りに聞いた事がある。この話も雨の日に糸を繰る母の膝(ひざ)もとでさゝやかれたようだ。と今さらになつかしく思いだされ、それにしてもこれらの話と一緒に暇さえあれば聞かされた、花咲か爺・桃太郎・浦島太郎や南山の馬鹿婿の話などを思うにつけ、今の子ども達は、どのような母親の寝物語りをきゝながら育っているだろうかと首をかしげました。
資料の提供に力をかしていただいた故小野田親夫さんはじめ、皆さん方に深く感謝いたします。
昭和四十八年八月十五日 ―第二十八回終戦記念の日に―
南奥大熊の里にて