大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 000_02/056page
は し が き
民話は古い時代、大人の集まりの折の語り物だったらしい。いまでは子供を対象に寒い風がピュウピュウと窓を鳴らす冬の夜、こたつにあたり、或いはいろり火を囲んで年寄りが話してくれる炉辺の物語りである。しかし最近はその「いろり」もなくなりこたつすら姿を消そうとしている。こんな時代に誰がどこで誰に言い伝えてくれるのでしょう。祖先が残してくれたこの偉大なる遺産ともいうべき民話を。
往時きびしい生活の中から素朴な喜びや悲しみ、願いを短かい話に託され語りつがれてきたのが民話であり、私たちの心にほのぼのとしたものを感じさせるのも蓋し当然であろう。
民話「野がみの里」は公民館報「おおくま」に掲載されたものを中心に編集いたしました。民話の拾集は殆ど松本幸一(元教育委員長、元大熊町町史編集委員長)氏の労によるものでここに深く敬意と感謝の誠を捧げるものでございます。