大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 001/056page

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 《第一話》

  金谷長者 (下野上金谷平)

むかし、むかし、

金谷の里(下野上金谷平)に長者が住んでいました。

この長者の屋敷には七つの土蔵があり、米やみそはもちろん、金物や膳椀(ぜんわん)などがいっぱい入っていました。

この長者はたくさんの男や女をやとって働かせました。熊川の浜から砂鉄をとってくる人、炭をやく人、鉄をふく人、くわやかまをつくるかじや、その農具を売りにゆく人、なかなか忙しい毎日です。また女は稲をつくり、蚕をおき、牛や馬を養いました。山にはウルシを植えてウルシがめもいくつもありました。

この長者屋敷の上の方に牛土淵(うしどぶち)という沼があり、水田をうるおしていました。

ある日、下男の一人が農具をいっぱい牛の背につんで、中通りの方に出かけることになりました。

家で水を飲ませることを忘れた男はこの沼で水を飲ませようと牛を追いましたが、牛は身の危


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