大熊町民話シリーズ第2号 民話 野がみの里 - 056/056page
この水がきれいにすんだ後ドビンにわかしてカサッポを洗いました。大へん気分よくなりました。一日に何回も洗い七日ほどたつとカサッポはきれいに治りました。ばあさんは大へん喜んで近所の人に教えました。みんなも治りました。
これが評判となって遠くの村からも来るようになりました。大きな桶(おけ)に入れ荷車につけて行きました。
家族の人の手伝いで井戸も大きくできました。じいさんは風呂場を作って遠くから来た人に奉仕しました。ばあさんは三味線をひくとお客さんたちは唄いました。またセンベイをやいて御馳走したりしましたので、大へん繁昌しました。
何年かたちました。常磐線が通り、ばあさんの家も、じいさんの風呂場も立ち退きとなりましたが、井戸だけは昔のおもかげを残していました。この井戸はどんな旱ばつにも水がかれませんでした。