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川内村名誉村民
草 野 心 平 先生
●天山文庫 (昭和63年11月12日没)
「蛙の詩」で知られる詩人・故草野心平氏「モリアオガエルの生息地があれば 教えて欲しい」と、ある新聞に投書したのが、昭和二五年のこと。それに応じて 、長福寺の先代住職、故矢内俊晃和尚が早速招聘の手紙を送りました。
そして昭和二八年八月、先生は川内村を初めて訪れました。以来、先生と 村民との親交は深まり、先生の蔵書三〇〇〇冊を村に寄贈されたのを機に文庫建設の話が もちあがりました。
そして村民一木一草を持ち寄り村あげての労働奉仕によって建てられたのが、 今の天山文庫です。
天山文庫の名は中央アジアを越えて、東洋と西洋を結ぶ「シルクロード」に そびえる天山山脈になぞらえ、みちのくと中央の交流、人と人との出会いを 大切にしたいという熱意を込めて、先生が命名したものです。昭和三五年、川内村名誉村民に推戴された心平先生。八五年という生涯を全う した今、そしてこれからも、先生の遺業は村民の心から消えることなく、語り継 がれていくことでしょう。
昭和四一年七月一六日の文庫落成を記念して一毎年行われる天山祭り。この日 は、村内はもとより、県内外から心平先生を偲んで多くの人々が集まってきます。
心平先生の写真を囲みながら青竹を二つに割った器に、色とりどりの山菜料理、 今朝釣りあげたばかりのいわなの焼魚を肴に盃を傾けます。
村の伝統芸能である獅子舞、浦安の舞、神楽舞が披露され、笛や太鼓で川内甚句 も飛び出します。