わたしたちの郷土楢葉町 楢葉町小学校社会科教師用資料 - 091/110page

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民  話  と  傳  説

1 下小塙のお稲荷さん  (提供斉藤ヨシ・下小塙)

  参照  「ならは」 なつかしい民話 P.51

2 乙次郎の霧ヶ滝不動さま

  参照  「ならは」 なつかしい民話 P.52

3 竜神弁天

 昔、大谷に弥太郎という人がおりました。投魚(なげやす)で鮭を捕るのが上手で名人と呼ばれる腕前でした。

 ある秋空の澄んだ日、木戸川上流の大滝附近に鮭捕りに出かけました。たまたま丸木橋があったので弥太郎はそれを渡って向う岸に行きました。渡り終わってから何気なくふと後を振り返りました。ところがどうでしょう。つい今しがた渡ったばかりの丸木橋がむくむくと動きだしたではありませんか。「変だなあ」と目をこすって見張っていると、なんとその丸木橋は大蛇だったのです。

 そして大蛇は大きな鎌首をもたげ口からは炎のような舌をペロリペロリと出して弥太郎の方をじっとにらんでいるのです。弥太郎はびっくり仰天して息もとまらんばかりになりましたが、とっさに持っていた投魚を身構えて大蛇の胴腹目がけて突き刺しました。

 大蛇は血に染まって苦しみもだえました。そして、その突き刺さった投魚を引きずりながら萓山をかきわけかきわけ九十九沢を越え、更に時鳥(ほととぎす)山を越えて西井戸東井戸のあたりでついに息絶えたということです。

 その後、弥太郎の子孫は後の災いを恐れて、その非業の死を遂げた大蛇の霊をなぐさめる為、寒行を行ってその霊を竜神弁天としてたてまつりました。

 そして、今もなお、不幸な人たちをお守りする神さまとして知られ、数多くの信者がお参りにくるということです。

  (遠藤義一・北田)


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