須賀川市立博物館図録 俳諧摺 下 -095/100page

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文字 明暦とまては読まれて苔の花 草秋
  池の端七軒町 田野氏  
   
振れは動く枕時計や秋の文字 浮舟
  王子岩淵 濱野氏  
   
女には負る星なる粽(ちまき)かな 一色
  小石川西江戸川 水野氏  
   
時のもの着ての乞食や秋の廓 御舟
  牛込水道町 林氏  
   
南瓜(かぼちゃ)煮て只の女となりにけり 牛六
  深川清澄町 山鹿氏  
   
文字 樽柿に爪て弾きたく思ひけり 一杉
  滝の川田端 野中氏  
   
奉公に行く誰れかれやばい廻し 万太郎
  荒川日暮里町 久保田氏  
   
燭台の脚かあふない桔梗哉 有平
  関口水道町 齋藤氏  
   
餅搗(もちつき)や茜(あかね)の中の草の家 一鶯
  麻布森元町 鈴木氏  
   
魚屋か売る奈良漬や花くもり 緡舟
  小石川茗荷谷 西村氏  
   
文字 姫はしめ済みたる妹か寝顔哉 迂外
  淀橋戸塚町 小泉氏  
   
近松忌人の女房に傘さして 水光
  浅草三間町 時雨庵氏  
   
六尺の草に入る日や赤とんぼ 泉古
  千住二丁目 養藤庵氏  
   
灯うつりのよき人の頬や更衣(ころもがえ) 桃郎
  杉並阿佐谷町 大倉氏  
   
何處まての拾ひ草履や花の雨 桜舟
  浅草公園三社 大畑氏  
   
文字 初花に古臭きもの障子かな  山曉
  豊島駒込町 閑月庵氏  
   
蟻と蟻何か礼儀のありけなり 兎若
  千住仲町 富雪庵氏  
   
秋晴に鶴放たんと思ひけり 素宏
  深川福住町 大林氏  
   
山蔭に里あり凧の唸(うな)る音 烏孫
  深川富岡町 小倉氏  
   
うら枯や小梅辺りを背負呉服 登々矢
  千住五丁目 福本氏  
   
文字 魚屋の美男と生れ祭り哉   圭美
  本所平川橋 川俣氏  
   
逆まに吊る自転車や秋燕 雁々
  四谷新宿二丁目 青山氏  
   
足袋の甲馳(こはぜ)一とつか堅し八重桜 白水
  本所緑町 酒井氏  
   
夏の匂ひトマトは皿に切られけり 早花
  淀橋新町市場 橋本氏  
   
夜桜やつひ朝さくら明の鐘 蝶二
  牛込薬王寺 中内氏  
   
文字 子規か住み抱一か住み啼笹子 大圭
  本所竪川 加藤氏  

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