機関誌第8号「AMFNEWS」 -004/007page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

AMF TOPICS

トピックス

TOPICS 1 企画展「ザ・シーラカンス〜ソーラカンスの謎〜」

The Coelacanth,The Greatest Fish Story

シーラカンス特別展示
▲シーラカンス特別展示
Coelacanth temporary exhibit

J・L・Bスミス魚類学研究所から借用した資料
▲J・L・Bスミス魚類学研究所から借用した資料
The displays rented by JLB Smith lnstitute of ichthyology

 アクアマリンふくしまでは、今年の3月に外部からの研究者を含めて、シーラカンス委員会を設立し、その活動の一環として、7月21日から9月30日まで企画展「ザ・シーラカンス〜シーラカンスの謎〜」を開催しました。

 アクアマリンふくしまの展示には「海・生命の進化」 というコーナーがあります。ここでは、「生きた化石」と「化石」を比較することができます。「生きた化石」とは、地質時代から例外的にゆっくりと進化して、先祖の形態を残した生物のことをいいます。シーラカンスはその「生きた化石」の代表格です。

1938年、南アフリカのイーストロンドンで、世界で初めて生きたシーラカンスを、学芸員として働いていたラティマー女史が発見しました。ラティマーさんは当時南アフリカの魚類研究者J・L・B・スミス博士に標本を送り、「世紀の大発見」として世界に公表されました。

 今回の企画展では、スミス博士にちなんで設立されたJ・L・B・スミス魚類学研究所から資料をお借りしました。同研究所が他の施設に展示資料を貸し出すのは初めてのことで、貴重な資料を展示することができました。

1998年にインドネシアのマナドで第2のシーラカンスが発見されました。外見はアフリカのシーラカンスにそっくりですが、DNAの分析では別の種類であるとされています。生態などに前種とどのような違いがあるのかはこれからの研究テーマです。マナドのシーラカンス標本は日本の国際協力事業団の協力によって設立されたインドネシアの研究所に保管されています。今回のインドネシアに関する資料は、おもに同事業団から借用しました。

 また、今回の企画展では地元のいわき市教育委員会や研究者の方が所蔵している化石も併せて展示しました。いわき市は、古生代から新生代までの幅広い時代の化石が発見され、魚類ではサメ類の歯の化石がたくさん見つかっています。シーラカンスの化石は、アメリカ大陸、ヨーロッパ、アフリカ大陸などで見つかっていますが、日本ではまだ見つかっていません。専門家の話では、いわきでシーラカンスの化石が見つかる可能性は大いにあるそうです。

 今回の企画展を通して、シーラカンスの興味深い生態の一部を紹介することができました。将来、第3、第4のシーラ カンスの生息地が見つかるということも期待されます。これからもシーラカンスからは目が離せません。

(繁殖育成課 岩田雅光)


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権はふくしま海洋科学館に帰属します。
ふくしま海洋科学館の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。