県北地方の農林業のすがた -004/092page

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5 農業・農村や森林の有する多面的機能

  私たちの生活は、農業・農村や森林からのたくさんの恵みによって成り立っています。

自然生態系の保全
農村や森林が存在することにより、水鳥やホタル、トンボ、小魚などの身近な生物のすむ環境を守る働き
景観の保全・形成
美しい田園景観、森林景観の保全、形成によって、うるおいを提供する働き
伝統文化の保存
農山村の生活と密接に関連する、古くから伝えられてきた伝統文化や祭、技術などを保存・継承する働き
アメニティの提供
観光農園、森林公園など農山村でのレクリエーションの場を提供する働き
自然教育の場の提供
農林業や森林の体験学習を通じて自然教育、情操教育の場を提供する働き

  これまで、農林水産省等が国土・環境保全機能の計量的評価を行ってきましたが、 福島県でも試算したところ、下記のような結果になりました。
農業・農村について評価 代替法
トラベルコスト法
洪水防止機能 1,754億円
水資源かん養機能 541億円
土壌浸食防止機能 10億円
大気浄化機能 3億円
保健休養・やすらぎ機能 552億円
合計 2,860億円
森林について評価
(林野庁の評価資料に基づき試算)
代替法
トラベルコスト法
水源かん養機能 6,508億円
土砂流出防止機能 1兆3,852億円
土砂崩壊防止機能 3,270億円
保健休養機能 388億円
野生鳥獣保護機能 1,438億円
大気保全機能 3,697億円
合計 2兆9,153億円
(福島県2001発表)

  これらの機能以外にも金額換算できない重要な因子(遺伝子資源の保存、良好な景観の形成、 気候の緩和、伝統文化の伝承等)を有すると考えられます。
 これらを県北地方に置きかえると、

農業・農村の多面的機能  約480億円(耕地面積により案分)
森林の多面的機能    約2,980億円(森林面積により案分)

となり、農林産物の生産額を上回る効果をもたらしていると考えられます。 こうした機能を発揮していくための地域資源の維持・保全が大きな課題になります。


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福島県県北農林事務所の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。