水産試験場要覧 -003/011page
漁業資源は、自然界において再生産され資源維持が図られているが、近年漁獲圧が高まり資源水準は極めて厳しい状況にある。このため「獲る漁業」から 「つくり育てる漁業」への転換を図った栽培漁業の推進が業界から求められている。
即ち栽培漁業とは、人工的に魚介類を生産し自然界でも十分生存できる種苗にまで育成これを放流する。その後、大型サイズになった段階で漁獲する システムである。この技術の歴史はサケで100余年を有し、叉ヒラメ、アワビ、ウニ等については30余年を経過している。
本県ヒラメ栽培事業は昭和62年から種苗生産及び放流技術開発がなされ、放流効果が認められたため平成8年度からヒラメ栽培事業として 10㎝サイズ種苗の100万尾放流体制が確立し、全県的に放流を実施している。
現在では、更に経済効果を上げるために、沿岸漁場整備の技術開発に必要な調査や生存率向上のための初期餌料環境調査に取り組んでいる。
サケ資源調査については放流稚魚の北上経路、効果的放流手法の解明、親サケの回帰経路、回帰予測のための基礎的資料の蓄積研究を行っている。
磯根資源調査として福島県アワビ、ウニ資源増大計画に基づき魚場生産力、天然資源の動向、人工種苗の生存率、自己再生海藻礁の試験研究を行い 、県内の栽培漁業をより効果的に振興させるための試験研究に取り組むでいる。