福島県水産試験場研究報告 第10号 - 017/073page

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福島水試研報第10号 平成13年3月
Bull.Fukushima Pref.Fish.Exp.Stat.,No10.Mar.2001

福島県における底びき網漁業の変遷

五十嵐 敏

Transition of Trawl Fishery in Fukushima Prefecture
Satoshi Igarashi

ま え が き

 底びき網漁業は、底魚資源を主な漁獲対象に発展してきた福島県沿岸漁業の中心的漁業であり、1999年の統計では、沖合底びき網(以下「沖底」という。)、小型底びき網(以下「小底」という。)あわせて当県属人漁獲数量の6.8%、漁獲金額の12.8%、当県属地水揚げ数量の10.0%、水揚げ金額の25.0%を占めている。

 底びき網漁業は、海底を掃くように曳網して魚種を無選択に漁獲する漁法であり、「乱獲」の危険が伴うことから、国によって海域毎の総操業隻数等の漁獲努力量が管理されてきた。しかし、近年、我が国周辺海域の底魚資源の減少が指摘されており、当県海域においても同様な状況にある。

 国は1999年12月に「水産基本政策大綱」を発表し、水産資源の回復を図るため、種々の対策を講じようとしている。底魚資源の回復を図るためには、漁獲強度が高いと考えられる底びき網漁業について現状を把握し対策を講じる必要があると思われる。そのため、当県の底びき網漁業の1955年以降現在までの状況を、漁獲努力量の推移、漁獲対象魚種の推移とそれらの資源動向、漁場利用の漁業種間競合等から解析し、今後のあるべき姿を検討するための資料とする目的で調査を実施した。

材料および方法

 操業隻数の推移

 全国の沖底操業隻数および当県の小底操業隻数は、「漁業・養殖業生産統計年報」 (農林水産省:以下「農林統計」という。)の漁労体数(小型底びき網は「縦びき1種」)とし、1955〜1998年について調べた。

 当県の底びき網漁船の現状を明らかにするため、当県沖底の操業許可海域別隻数、トン数階層別隻数、当県小底のトン数階層別隻数を福島県水産事務所資料により調べた。

 対象魚種の推移

 「福島農林水産統計年報」(東北農政局福島統計情報事務所:以下「県農林統計」という。)から、沖底・小底の1955年以降の主要魚種別漁獲量と総漁獲量に対する比を調べた。

 当県の沖底・小底は、殆どが県内水揚げであり、他県船の当県水揚げも多くなく、属人漁獲と属地水揚げが近い数字である。漁獲対象魚種の推移は、水揚げ数量よりも水揚げ金額でみる方が適切であると考え、1969〜1999年については、魚種区分が「県農林統計」より詳細な属地統計である「福島県海面漁業漁獲高統計」(福島県水産課:以下「県統計」という。)を用い、沖


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