福島県水産試験場研究報告 第10号 - 022/073page
類似度の高低はあるが、1969〜1999年の間に概ね沖底は5年群に、小底は6年群に区分することが可能と思われた。いずれの年群も連続した年になっており、離れた年が魚種組成の類似した年群に含まれることはなかった。各年群の水揚げ金額上位魚種を表8に示す。
沖底では、1969〜1970年にはメヌケ類の比率が高く、その後1971〜1984年の長期にわたりヤリイカ等イカ類中心の水揚げが続いていた。1985年以降の3年群では、特出した水揚げ金額の魚種はなく、ミズダコ(ヤナギダコ含む)、ズワイガニ、ヤナギムシガレイ等が上位を占め、アナゴ、マガレイ等比較的水深の浅い海域で漁獲される魚種も加わっていた。
小底では、1969〜1971年にはマコガレイ、イシガレイの比率が高く、その後1972〜1975年にはミズダコ(ヤナギダコ含む)、ヤナギムシガレイ等比較的水深の深い海域で漁獲される魚種が比率を増していた。1976〜1984年にはマガレイの比率が高くなっており、1985年以降の3年群ではヒラメの比率が最も高く、特に1994〜1999年にはヒラメの他マガレイ、マコガレイ等の比較的水深の浅い海域で漁獲される異体類の比率が50%を超えていた。
主要魚種の資源動向
当県の底びき網漁業主要魚種の水揚げ量の推移を図3に示す。
主要魚種のうち、サメ類、キチジ、メヌケ類は、水揚げ量の減少が著しく、近年では殆ど水揚げがなかった。ヤリイカ、マガレイ、マコガレイ、イシガレイは、最も水揚げ量が多かった時期から長期間低水準の状態が続いており、近年の水揚げ量は高水準時の概ね30%以下になっていた。ヒラメ、ヤナギムシガレイの水揚げ量には増減がみられ、近年は過去の高水準時と同程度となっていた。調査期間の範囲で比較的増減が少なく安定していたのはミズダコ(ヤナギダコ含む)、アナゴであった。
漁場利用の推移
漁業種類間の類似度指数の推移を図4に示す。
「沖底・小底」の類似度指数は、1984年までは0.3〜0.5の低い数字の年が多く、さほど競合していなかったと推測されたが、1985年以降急激に高くなり、1991年には0.8を超えた。その後ゆるやかに低下して、近年では0.6〜0.7となっていた。
「沖底・小型」の類似度指数は、1984年までは0.0〜0.2と非常に低く、殆ど競合はなかったと思われたが、1985年以降高くなり1987年からは0.5を超えていた。近年では1995年以降低下傾向にあり、0.5〜0.6となっていた。
「小底・小型」の類似度指数は、1969〜1971年には高く0.8以上であったが、1972年から急激