福島県水産試験場研究報告 第10号 - 039/073page

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福島水試研報第10号 平成13年3月
Bull.Fukushima Pref.Fish.Exp.Stat.,No10.Mar.2001

福島県におけるヒラメ放流魚の漁獲量および漁獲金額

 渡邉昌人・藤田恒雄・水野拓治・江部健一


Catch and Landing Money of Hatchery-reared Japanese Flounder Released on the Coast of Fukushima Prefecture
 Masato Watanabe,Tsuneo Fujita,Takuji Mizuno,Ken-ichi Ebe

 ま  え  が  き

 ヒラメParalichthys olivaceus(TEMMINK et SCHLEGEL)は、福島県において1990〜1999年の10年間で115〜699tの漁獲量、3〜13億円の漁獲金額となっており1)、沿岸漁業の漁獲対象種として重要である。そのため、1993年からは資源管理として、全長30cm未満のヒラメを漁業者主体で漁獲規制している。また、1982年から人工種苗放流試験が開始され、1996年からは漁業者が主体となった栽培漁業の事業として、全長100oサイズの人工種苗を毎年、100万尾の規模で放流している。

 当県では放流されたヒラメ人工種苗(以下放流魚)の回収状況を把握するために1985年からヒラメの水揚げが多い産地魚市場(以下、市場とし、各市場は開設者、卸売業者である漁協の名称のみで表す。小名浜には小名浜漁業協同組合と小名浜機船底曳網漁業協同組合を含めた。)を中心に、継続的な調査を行っている。これまでの調査結果から、1994〜1999年に水揚げされた放流魚およびヒラメ天然魚(以下天然魚)の漁獲量および漁獲金額を推定し、種苗放流の量的、経済的な効果について考察したので報告する。

 材料および方法

 統計値の整理

 福島県海面漁業漁獲高統計および福島県海面漁業漁獲高月報により、1989〜1998年の漁獲量、漁獲金額および平均単価を月別、調査市場別に整理した。1999年については福島県漁業協同組合連合会集計による速報値によった。

 放流魚の尾数および平均全長の整理

 水産庁補助事業として行った放流技術開発事業の総括報告書2、3)により、1989〜1999年に当県で放流された人工種苗の尾数および平均全長を整理した。

 市場での調査

 これまでに調査を行い、推定に用いた市場の位置を図1に示す。ただし欠測等の止むを得ない

図1


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