福島県水産試験場研究報告 第10号 - 040/073page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

理由により、月によって解析に用いた市場数は異なっている。調査は漁船ごとに水揚げされたヒラメ全数を測定することにより行った。有眼側若しくは無眼側に体色異常が確認されたものを放流魚とし、確認されないもの若しくは確認されても人工種苗で見られない(天然魚でのみみられるパターン)体色異常であったものを天然魚と判別した4)。相馬原釜では沖合底びき網と固定式さし網を区別し、放流魚、天然魚別の全長を測定した。請戸、久之浜、四倉、小名浜および勿来では、競り単位ごとの放流魚尾数、天然魚尾数、重量および単価(小名浜は除く。)を記録した。重量は1989〜1999年、金額は1994〜1999年の期間で整理した。

 漁獲量の推定

 相馬原釜における全長データを、竹内ら5)による雌雄込みの全長(LT、単位はp)- 体重(W、単位はg)の関係式(W = 0.007828LT3.091)で放流魚、天然魚別に重量換算し、月単位で積算して放流魚重量比率(放流魚重量/調査重量)を得た。請戸、久之浜、四倉、小名浜、勿来では調査重量(放流魚、天然魚別)を月ごとに積算し、月別、市場別の放流魚重量比率を得た。この割合を各市場の漁獲量で加重平均し、県全体の放流魚重量比率とした。この放流魚重量比率に県全体の漁獲量を乗じて、放流魚漁獲量を推定した。全体の漁獲量と放流魚漁獲量の差から、天然魚漁獲量を得た。

 漁獲金額の推定

 請戸、久之浜、四倉、勿来で記録した競りごとの重量と単価から放流魚、天然魚別の金額を積算し、月別、市場別の放流魚金額比率(放流魚金額/調査金額)を得た。この割合を市場ごとの漁獲金額で加重平均し、県全体の放流魚金額比率とした。この放流魚金額比率に全体の漁獲金額を乗じて、放流魚漁獲金額を推定した。全体の漁獲金額と放流魚漁獲金額の差から、天然魚漁獲金額を得た。

 単価率の算出

 放流魚、天然魚別の推定漁獲量および推定漁獲金額から算出されたそれぞれの平均単価と全体の平均単価との比率を単価率とした。

 結   果

 平均単価および漁獲量の平均値

 月別の平均単価および漁獲量を1989〜1999年で平均して図2に示す。全体的には数量増加で単価下落、数量減少で単価上昇の傾向が窺える。詳細に見ると、産卵のための接岸で漁獲量が増加する5月、6月、沖だし時期で1歳魚が大量に漁獲加入する10〜12月には安値で推移している。逆に漁獲量が減少する1〜4月、7月、8月(7月、8月は底びき網の禁漁期)は高値で推移している。しかし、年度末の3月、年末の12月では前月より漁獲量が増加しているうえ、平均単価も上昇している。

図2

 放流魚の尾数および平均全長の整理


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県水産試験場に帰属します。
福島県水産試験場の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。