福島県水産試験場研究報告 第10号 - 051/073page

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福島水試研報第10号 平成13年3月
Bull.Fukushima Pref.Fish.Exp.Stat.,No10.Mar.2001

福島県双葉海域で採集されたアミ類

 渡邉昌人・藤田恒雄・五十嵐敏

Mysidacea Collected on the Futaba Coast of Fukushima
Masato Watanabe,Tsuneo Fujita,Satoshi lgarashi

ま  え  が  き

 アミ類は多くの魚類の好適な食物であり1)、特に着底後のヒラメ稚魚の主餌料であることが知られている2-5)。アミ類の分布密度が高い時期、水深でヒラメ人工種苗を放流することは、回収率を高める放流技術として有効である6)。当県では1982年からヒラメ人工種苗を放流するとともに、その放流技術を開発してきた。その結果、高い放流魚回収率が得られた理由の1つとして、沿岸海域にアミ類が十分に分布していたことを挙げている7、8)。ヒラメ種苗放流は1996年から漁業者を主体とした事業となり、年間、100万尾を超えるヒラメ人工種苗を生産し、約100oの平均全長で沿岸全域に放流している。このような状況にあるヒラメ栽培事業を支援するため、当県水産試験場では放流効果調査と平行して餌料環境調査を行ってきた。

 本報では、1995〜2000年に実施したヒラメ稚魚餌料環境調査結果から、当県双葉海域におけるアミ類の出現と分布特性をまとめたので報告する。

 材料および方法

 調査は当県双葉郡浪江町請戸地先(図1)で、1995〜2000年の5〜9月を中心に行った。調査地先は海底が砂質であった。漁具は広田式ソリネット(幅60p、高さ40p、目合い0.7o、以下、ソリネット)を用いた。3水深帯(5m、10m、15m)で行った。曳網は5t前後の漁船でクラッチを断続した低速(1ノット前後)により行った。曳網距離は1995年が50m、1996年と1997年が100mでそれぞれおもりのついた釣り糸で計測した。1998〜2000年は南北方向でのロランA 2S2の変化(±1.3)を200mとみなして曳網距離とした。

 採集したサンプルは調査船上で約10%のホルマリンで固定した後、試験場に持ち帰り、湿重量を測定した。アミ類採集個体数が少ないサンプルでは、アミ類の全数を計数した。それ以外のサンプルでは、単位重量あたりのアミ類個体数を重量全体に乗じて、アミ類個体数を算出した。同日に2回採集した水深帯では採集個体数を平均した値をデータとして用いた。ソリネット開口部の高さおよび漁具効率は考慮せず、ソリネットの幅および曳網距離から、1uあたりのアミ類個体数を算出し、アミ類密度とした。調査が複数回であった月については、水深帯ごとに平均して月別のアミ類密度とした。

図1


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