福島県水産試験場研究報告 第10号 - 073/073page

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福島水試研報第10号 平成13年3月
Bull.Fukushima Pref.Fish.Exp.Stat.,No10.Mar.2001

福島県南海域における抱卵イセエビの捕獲記録 
(短報)

 渡邉昌人・佐藤美智男

Catch Record of Japanese Spiny Lobster Holding Eggs on the South Coast of Fukushima(Short Paper )
Masato Watanabe,Michio Sato

 2000年10月、福島県南海域におけるさし網調査で抱卵したイセエビ(Panulirus japonicus)が捕獲された。過去における福島県水産試験場の調査や漁業者等からの報告に、抱卵したイセエビの捕獲記録はなかった。捕獲記録は表1に示す。イセエビの産卵期は春から夏で産卵水温は22〜26℃、千葉、神奈川の産卵期は5〜9月で盛期は6〜8月と報告されている1、2)。このことから、今回捕獲されたイセエビの抱卵は、両県の産卵期よりいくらか遅れていた。

 なお、イセエビはふ化後、約1年の浮遊生活をした後にプエルルス(puerulus)と呼ばれる透明な幼生に変態して底生生活に移ることから3)、形態および体色が成体と同様な稚エビは発生から1年以上を経過している。従って、前回に報告したイセエビ(稚エビ)は1998年生まれであると思われる。

表1

図1
図1 抱卵中のイセエビ

文   献

1) 多紀保彦他:食材魚貝大百科(エビ・カニ類、魚類)、第1巻、平凡社、東京、1999、26pp.
2) 水生生物生態資料:(社)日本水産資源保護協会(1981).
3) 阿部宗明・本間昭郎:現代おさかな事典 漁場から食卓まで MODERN ENCYCLOPEDIA OF FISH、株式会社エヌ・ティー・エス、東京、1997、726pp.


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