平成13年度 事業報告書 - 003/171page
た。また、アワビ、ウニ等の植食動物の生息数は少なかった。アラメの生育密度はおよそ10. 9本/uで、アラメ1個体あたりの年間側葉脱落量は約2kgと推定されていることから、高い生産性があることが示唆された。
海藻の遷移過程は、殻状海藻、小型一年生海藻(始相)→(大型一年生海藻→)小型多年生海藻→大型多年生海藻(極相)と進行していくことが知られている。
アラメが優占する「小浜、灯台下」は海藻遷移過程の極相状態であり、現在、操業の中心となっている。今後もアワビ、ウニを適正に放流、採捕していけばアラメ海中林は維持されるものと考えられる。
磯焼け海域である「黒森出」及び「長根」において海藻の遷移が進行しない理由は主にキタムラサキウニの摂食圧と考えられる。
しかし、「黒森出」ではアラメの根跡や幼体が確認されたことから、当地では何らかの理由によりアラメ海中林が枯死脱落し、その後キタムラサキウニ等の摂食圧により、磯焼けが持続していると考えられた。従ってウニの食圧を排除することによってアラメ繁茂の可能性があると考えられた。
「長根」は水深が深く濁りやすい場所であり、また過去にアラメ海中林が存在した形跡も見られないため、アラメが安定的に生育できる環境にはないと考えられる。従って当地で主要な餌料海藻となるのは主にワカメ等の一年生海藻であるが、これらは海況等による年変動が大きいことが考えられることから、当地では海水温等の影響で海藻が減少した際にキタムラサキウニの摂食圧が加わり、以降磯焼けが持続していると考えられた。従って、ウニの食圧を排除すればワカメ等の一年生海藻は期待できるものと考えられた。