平成13年度 事業報告書 - 002/171page

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2 原釜藻場分布調査結果

佐藤太津真*・斎藤健

目     的

 相馬市原釜地区ではアワビ、ウニの種苗放流を行っているが、漁場における海藻の分布状況を調査してその評価を行った事例は少ない。磯根資源の増大及び安定生産を行うためには磯根漁場の現状を把握し、人為的に餌料海藻の安定供給を図っていくことが必要がある。そこで本調査では、原釜地区における磯根漁場に潜水し、分布する海藻相を把握することにより、餌料環境から推察される漁場の特性を整理して、今後の餌料海藻増大を図る上での資料とする。

方     法

 平成13年11月9目、漁業者から原釜地区における磯根漁場3カ所について聞き取りを行った。その後、それぞれの漁場の中央部に潜水し、そこから東西及び南北にロープで100mラインを張り、ライン上10mごとに付されたラベルを中心に50cm方形枠で枠取りしてその中に生息する海藻を採取した。また、目視によりそれぞれの漁場の特徴について観察した。調査は漁期間外で濁りの比較的少ない秋季から冬季にかけて3回に分けて行い、第1回目の調査を平成13年11月21目、第2回目を平成13年12月20目、第3回目を平成14年1月25日に実施した。

結     果

 原釜地区で磯根漁業の対象となっている漁場は@「黒森出」、A「長根」、B「小浜、灯台下」の3カ所(図1)であるが、現在操業が行われているのは主に「小浜、灯台下」であり、「黒森出」及び「長根」は餌料となる有用海藻がない磯焼け状態であるため、ほとんど操業が行われていない。別表に各漁場の分布海藻を示した(表1〜6)。距岸距離や同一水深帯内での明確な分布傾向は認められなかった。また、各漁場に共通しているのは底質は軟泥岩でもろく、時化等により濁り易い海域であること、30m〜50mごとに数mから10m程度の溝が存在していることなどである。

 「黒森出」は水深5〜7mで、海藻では無節サンゴ藻であるサビ亜科が優占し、動物ではキタムラサキウニ、カイメン、ヒトデなどが多数生息するいわゆる磯焼け海域であった。しかし、過去にアラメが繁茂していたことを示す根跡や、わずかながらアラメ幼体も観察された。
 「長根」は水深7〜9mと他の漁場よりも若干深く、「黒森出」と同様に有用海藻はみられず海藻ではサビ亜科が優占、動物ではキタムラサキウニ、カイメン、ヒトデ等が多数生息する磯焼け海域であった。

 「小浜、灯台下」は水深4〜5mでアラメが優占する海域であり、アラメ以外の海藻も観察されたが、小型の紅藻類が中心でアワビ、ウニに対する餌料価値はほとんどないものであっ


*現 水産課

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