平成13年度 事業報告書 - 093/171page
X 日本周辺高度回遊性魚類資源調査
松本育夫*1・早乙女忠弘・八多宣幸*2
目 的
カツオ・マグロ資源については、国際的な資源保護の論議に対応可能な科学的知見の収集を目的に、国の国際資源調査等推進対策事業による調査が全国的に実施されている。本県においても、当該魚種の水揚高は多く、夏から初冬にかけての沿岸漁業の対象となるなど重要な漁業資源であることから、本年度より、独立行政法人水産総合研究センターからの委託を受けて調査を実施した。
方 法
本事業の「調査手引き」に従い、漁獲状況調査と漁獲物測定を行った。
漁獲状況調査は、水産試験場と漁協魚市場を結ぶ水産資源管理支援システム等から、カツオ及びマグロ・カジキ類について漁協別・漁業種類別・月別漁獲量を集計した。
漁獲物測定は、まき網及び近海かつお一本釣で漁獲されたカツオについて、中之作魚市場に水揚した漁船のうち、1隻について漁獲日や漁獲位置を聴き取り、200尾について尾叉長(以下「体長」という)、うち50尾について体重を測定した。また、大中小の各銘柄別に各3尾程度を抽出して、体長、体重、雌雄、生殖腺重量、胃内容物を測定した。さらに、曳釣で漁獲され勿来魚市場に水揚されたメジ・カツオ、大目流し網で漁獲され小名浜魚市場に水揚されたメジ・カツオについては、体長のみをできるだけ多く測定した。
結 果
調査データは、「調査手引き」に従って、カツオについては毎月、マグロ類については6ヶ月分を取りまとめ、遠洋水産研究所等へ報告するとともに、結果の概要を年度末報告会で報告した。ここでは、以下にその概要のみを示す。
本県における平成13年の漁獲量は各魚種とも近年並みで、カツオは約9千tであった(表1)。(1) カツオ
平成13年5〜11月における中之作魚市場の水揚物の測定結果を表2に示した。体長組成の推移を見ると、標本の時期・漁場により異なったが、主体は概ね5月に45cm前後から11月に52〜53cmに成長する群であり、加えて5月に55cm前後から9月末に60cm前後に成長する群が混じる場合があった(図1)。
肥満度{体重g/(体長)3o×106}、体長が大きいほうが高い傾向にあった(図2-1)。また、季節変化を見ると、春から夏に向かって徐々にして8月に最高値を示し、それ以降は徐々に低下する傾向にあった(図2-2)。
生殖腺指数1)GI:生殖腺重量g/(体長)3o×107は、成熟途上とされる4以上の個体
*1現 水産事務所 *2現 (財)栽培漁業協会