平成13年度 事業報告書 - 099/171page
T 漁場環境調査
1 漁場保全対策推進事業調査
藤田恒雄・佐々木恵一・根本芳春*
目 的
水質汚濁等に起因する突発的な漁業被害を未然に防止するため、漁場における長期的な環境変化を把握することを目的とする。
要 約
詳細については、「平成13年度漁場保全対策推進事業調査報告書」に別途報告したので、ここでは当年度の特徴的な結果についてのみ記す。なお、調査地点、調査方法等は昨年度と同様である。
(1) 水質調査
鵜ノ尾埼定線では、水産用水基準値の6mg/lを下回るDO値が観測されたのは9月21日のU1の底層だけで、特に深刻な低酸素につながる測定値や特異現象は観測されなかった。
松川浦では、6月から7月にかけて湾奥部のM5地点で各層ともDOが6mg/l以下に低下する傾向がみられたが、水産用水基準値である「内湾漁場の夏期低層において最低限維持しなくてはならない溶存酸素量4.3mg/l」は上回っていた。また、6月にはM1の表層で20を下回るやや低い塩分が観測された他は、特に低い塩分は観測されなかった。
(2) 底質調査
鵜ノ尾埼定線での底質は、沖合ほど粒度組成が粗くなる傾向がみられた。COD、TSとも水産環境水質基準値を上回る地点はなかった。
松川浦ではCODの水産環境水質基準値(20mg/g乾泥)を上回った地点は、M3、M5の2点だった。一方、TSは水産環境水質基準値(0.2mg/g乾泥)を上回った地点は、5月がM2、M3、M5、10月がM4の延べ4地点だった。
(3) 底生動物調査
鵜ノ尾埼定線で採取された底生生物は、種類数、個体数とも少なかった。この定線での調査は、昨年度からなので、更にデータを蓄積する必要がある。
松川浦では、5月のサンプル2地点から汚染指標種であるチヨノハナガイが6個体確認された。
*現 水産事務所相馬普及室