平成13年度 事業報告書 - 140/171page
V 放流技術開発事業
1 ホシガレイ放流技術開発
安岡真司・冨山 毅
目 的
ホシガレイの漁業実態を明らかにするとともに、人工種苗の放流追跡調査により生物生態的知見を収集し放流技術開発の基礎資料とする。また回収率を推定し、放流効果の検討を行う。
要 約
詳細については平成13年度資源増大技術開発事業報告書に記載予定なので、ここでは要約のみに留める。
(1) 漁業実態調査
ア.水揚げ状況
平成13年の福島県のホシガレイ水揚げ量(マツカワを含む)は約2.8t、金額は約11百万円、平均単価は3,911円/kgであった。イ.季節毎の漁業種類別、天然魚・放流魚別活魚の全長と単価の関係
底びき網の天然魚は季節を通して全長約40cm以上で単価が概ね5千円を超え、10千円に達する個体も見られたが、放流魚においては5千円を超える個体はほとんど見られなかった。
さし網の天然魚は産卵期である12〜1月を除き、全長40cm以上の個体の多くが5千円を超えており、特に6〜8月は全長40〜50cmで10千円を超える個体も多く見られ、20千円に達する個体もあった。放流魚は夏季を除き、底びき網の放流魚と同様に5千円を超える個体はほとんど見られなかったが、6〜8月については全長40cm後半で5千円を超える個体も多く、15千円を超える個体も見られた。(2) 放流種苗短期追跡調査
ア.放流
平成13年6〜9月にかけてALC標識(1〜3重)をした平均全長約8cmサイズの人工種苗29,505尾を松川浦内に放流した。イ.追跡調査
・放流1週間後から放流地点付近での再捕尾数が急激に減少していることから、放流直後〜放流1週間後までに多くの種苗が放流地点から移動・分散したと考えられた。・翌年1月以降は再捕されなかったことから、冬季には多くの放流種苗は外洋に移動している可能性があると思われた。
・7月に全長8.1cmで放流した群は放流後60〜100日で概ね全長12cm前後に成長していたと考えられた。
・放流翌日に再捕された個体の93%が摂餌していたことから、ほとんどの個体が放流直後から摂餌行動をしていたと考えられた。
・再捕した個体の多くがアミ類を捕食していた。