平成13年度 事業報告書 - 146/171page

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X 沿岸重要資源高度化利用対策事業

 1 マアナゴ資源調査(県単事業)

石田敏則・小野安芳・山廼邉昭文・片山知史*1・望岡典隆*2

目     的

 常磐海域においてマアナゴは、底びき網漁業、胴漁業、かご漁業等により漁獲され、その水揚量、水揚金額は大きく、沿岸漁業に占める産業的ウエイトは高い。しかし、本種の漁業実態並びに生態については、不明な点が多いため、本調査においては資源の持続的利用方法について検討するための、成長・成熟等の生態的知見の収集を行うとともに、漁業実態を把握する。

方     法

(1) 平成2年以降の宮城県、福島県及び茨城県のマアナゴとそのレプトケファルス幼生(通称:ノレソレ)の水揚量等を、各水試の資料を基に整理した。

(2) 底びき網漁船の標本船から求めたCPUE(kg/h)を緯度経度5分メッシュに整理するとともに、東北水研で発行している100m深水温図と照らし合わせ、分布・移動を検討した。

(3) ノレソレの変態過程を明らかにするため、平成13年2月〜6月にかけて福島県海域で漁獲されたノレソレをアルコール固定後に全長、TM(総筋節数)、PAM(肛門前筋節数)を測定した。

(4) 常磐海域で漁獲されたマアナゴの耳石を約200℃で数分間加熱後、樹脂包埋し、約0.3o厚の切片とし、蛍光顕微鏡WBVフィルターで検鏡することにより、年齢査定を行い、4半期別のAge-Length-Keyを作成した。

(5) 常磐海域で漁獲されたマアナゴの全長階級別(10cm間隔)の性比を整理した。

(6)全長60cm以上の雌について、生殖腺の肉眼観察及び10cm階級毎のGSI(生殖腺重量指数)の季節的推移を調べるとともに、生殖腺の組織学的観察を行った。

結     果

(1) 常磐海域における漁業実態

 ア マアナゴの水揚量(図1、2)
  福島県においては、底びき網漁業、かご及び筒漁業によってマアナゴのほとんどが漁獲される。水揚量は平成2年には、昭和44年以降で2番目に相当する960tを記録したが、平成6年及び平成7年と一時的な増加はあったものの、近年は減少傾向にある。特に平成9年以降は減少傾向が顕著であり、平成12年の水揚量は、平成2年の1/2以下の390t程度にとどまった。
  常磐海域におけるマアナゴの水揚量の推移も、福島県と同様に減少傾向にある。

 イ ノレソレの水揚量(図1、2)


*1 東北大学農学研究科
*2 九州大学大学院農学研究院

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