平成13年度 事業報告書 - 147/171page
福島県においては、ノレソレは平成2年以降に、機船船びき網漁業により漁獲されている。
地区では、平成5年以降資源管理的思想から操業を自粛している。県南地区では、平成2年以降、操業がなされているが、水揚量を確認できるのは平成5年以降である。ノレソレの水揚量は、オキアミ、コウナゴ、サヨリ等の漁模様に左右されるが、近年数t程度の水揚量があり、しかも増加傾向にある。
常磐海域におけるノレソレの水揚量は、平成5年以降急激に増加し、近年では20〜30tを記録している。なお、宮城県ではノレソレの操業を自粛している。
(2) 底びき網のCPUE分布からみたマアナゴの分布・移動(図4)
底びき網の標本船から求めた緯度経度5分メッシュのからみると、水深150m以浅に分布し、水温の変動に対応した南北移動を行う傾向がある。
(3) 常磐海域におけるノレソレの変態過程(表1)
平成13年2月〜6月に、福島県海域で採集したノレソレの測定結果を示す。サンプルは、機船船びき網及び水工研U型ソリネットにより漁獲されたものである。採集された個体の全長組成は、2月から4月上旬にかけて小型化し、4月下旬から5月上旬にかけて大型化していく傾向が認められた。PAM×100/TMの値は、4月中旬までは70を下回る個体は見られなかったものの、4月中旬以降は30〜70といった低い値を示す個体が出現した。すなわち、4月中旬には、変態期に入っている個体が生息していたことが示唆された。
(4) 年齢と成長について(表2)
表2に、4半期別のAge-Length-Keyを示す。年齢の起算日は、田中ら(1987)、望岡ら(1988)を参考に12月1日とした。常磐海域においては、1歳魚が7〜9月にかけて、全長30〜45cmとなり、漁獲対象資源へ加入し、翌年には、全長40〜60cmに、その翌年には50〜70cmまでに成長する。なお、現在までに確認された最高齢は13歳であった。
(5) 全長階級別の性比(表3)
表3に常磐海域における全長階級別の性比を示す。なお調査データは平成12年7月から平成13年6月にかけて実施したものである。常磐海域における性比は圧倒的に雌に偏っており、雄はほとんど分布しない。
(6) 雌のGSIの季節的変化及び成熟状況(図3、表4)
常磐海域においては、10月以降、各階級ともに平均GSIは増加していき、3月には6%程度になる。全長100p以下のものは4月には1%程度に低下するが、全長100cm以上のものは、12月から6月まで4%以上を維持し、個体によっては、肉眼で卵粒が確認できるものが見られた。また、生殖腺の成熟状況は、一部で第2次卵黄球期まで発達するものがみられるが、ほとんどは第1次卵黄球期までしか発達しない。