福島県長期総合教育計画41/4-024/330page
食料品工業、繊維工業、木材木製品工業の順になると見込まれる。
成長率と労働力吸収率の高い重化学工業を中心に、労働集約的な軽工業との発展が見込まれている
が、第23図にも見られるように、軽工業の比重は小さくなるものとみられ、本県産業近代化の中心に
なるものは、重化学工業になろう。科学技術の進歩にともなう生産、管理方式の変革は、重化学工業
部門に多くあらわれることと見られる。とくに誘致される重化学工業は、最新の技術を導入すること
になると考えられる。しかし、科学技術は、その性質からみて、他のおくれている企業にもつよく浸
透するので、すべての企業の生産、管理方式をも近代化していくことになろうから、将来の就業者の
科学技術的知識、技能は、質の高いものが要請されることになろう。新規就業者はもちろん、現在の
就業者も激変する生産、管理方式にたえうる自己教育が不可欠な条件になると考えられる。
2 工業化と教育への要請
工業を手がかりとして本県の第二次産業の推移と見通しを概観してきたが、激変する第二次産
業が、教育に何を要請することになるかを項目的にまとめてみたい。
(1) 労働力吸収率の高い重化学工業を中心とする工業化の進行は、労働力需要が増大する。本県人
口の社会増減についてはすでにみたところであるが、傾向としては、県外流出にともなって本県
人口は減少しつつある。とくに、新規学卒の県外流出、出稼ぎが多い。これは、京浜地区など関
東経済圏が中心であるが、この地域の経済動向によって、県外流出数は左右される。
また、本県経済の発展も、中央の経済の波によって影響されることはいなめない。広い視野か
ら長期の見通しをもって、労働力は調整されなければならないが、すでに見た計画によって考察
することにする。
増加する労働力の需要増と供給計画は、別にのべることにするが、第一次産業からの転職者
と、非労働力の労働力化と新規学卒者によって、供給されることになると考えられるが、このこ
とは、教育に多くの要請をもたらすことになろう。
その一つは、第一次産業から転職するひとたちの意識と社会一般の人びとの意識の問題である
転職に対する旧来の意識をあらためることが、転職の壁をつきやぶることになる一つの要因であ
ろう。工業化の進行にともなって経済活動が合理化され、職業観もかわってきているが、比較的
伝統的社会性格のつよい第一次産業地域では、なお、大きな教育的課題であろう。
この問題は、第一次産業の近代化ともつながる問題であり、第1次産業地域の教育は、大きな
役割をもつことになろう。
かつ、この意識の改革は、非労働力の労働化の対象となる層についても同じである。
その二つは、経済界の動向や産業に対する知識をたかめることである。合理的な判断と見通し
にたって、行動を決定する必要があるが、そのための学習もきわめて重要なことであろう。勿
論、適切な転職施策が必要であると同時に、主体的に自己の態度をきめることが必要であり、そ
の判断の基礎的な知識が必要であると考えられる。