サクシード中学校国語から高等学校国語へ-033/43page
はたるのひかり まどのゆき
ふみよむつきひ かさねつつ
いつしかとしも すぎのとを
あけてぞ けさは わかれゆく
(「蛍の光」)
【例(2)】
次の傍線部について、文法的に説明しなさい。
仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心うく覚えて、あるとき思ひたちて、ただ一人、徒歩より詣でけり。極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。
さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること、果たしはべりぬ。聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず。」とぞ言ひける。
少しのことにも、先達はあらまほしきことなり。
(「徒然草」第五十二段 光村図書二年)
3)口話と違う助動詞がある。
◆完了「たり」「り」「つ」「ぬ」
◆回想「き・けり」
◆断定「なり・たり」
4)口語と違う助詞がある。
◆「とも」「ども」「だに」「すら」など
5)口語にない言い表し方がある。
◆係り結びの法則
「ぞ・なむ・や・か〜連体形」
「こそ〜已然形」
例「あけてぞ…わかれゆく」
例「雪ぞ降りたる。」
これら口語と文語との違いを明確にしながら、具体的に作品をもとに古文を読む。学校の実態に応じて集中的な文法指導と必要事項を精選した文法指導とが考えられるが、古典の入門期には古文に親しませることに主眼を置き、生徒の実態からかけはなれた、細部に過度にこだわる文法指導は避けるべきであろう。
も息づいている古典の皿界を古葉を通して理解させるよう配慮する。
【入門期指導の工夫例】
1)耳で古文を聞き分ける童謡や文話で表現された曲などを聴かせ、口語に直させる。
2)言葉さがし
一字の違いによって意味の異なる文を提示して、微妙なニュアンスの違いを感じさせる。
◆「夏は来ぬ。」(なつはきぬ。)
◆「夏は来ぬ…」(なつはこぬ…)
3)かな表記を漢字に直す作業
かな表記を漢字に直すことにより、名詞・動詞・形谷詞・助詞・助動詞などの意味を明確にさせる。
◆あききぬと
めにはさやかに
みえねども
かぜのおとにぞ
おどろかれぬる
★高等学校一年終了時までに触れておきたい主な文語文法事項★
古文を正確に解釈し、より深く鑑賞するために、高等学校においては次のような内容について確実な理解を図りたい。その際、自分で説明できるようにするとより効果的に学習が進められる。
○品詞の種類と活用についての基礎的事項の確認 ○用言 …… 活用の種類・活用の仕方やその具体例 ○助動詞 …… 打消の助動詞「ず」、完了の助動詞「つ」「ぬ」「たり」「り」の用法と用例 過去の助動詞「き」「けり」の用法と用例 推霞「む」「らむ「けむ」「めり」「らし」「べし」などの主な用法と用例 ○助詞 …… 格助詞、係助詞「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」、副助詞「だに」「すら」「さへ」「のみ」など 接続助詞「ば」「とも」「ど」「ども」など・終助詞「なむ」「ばや」などの用例 ○副詞 …… 程度の副詞、陳述の副詞の用例