サクシード中学校国語から高等学校国語へ-032/43page
敬語の感覚を養う
〔確認問題(1)〕
敬語を使わなければならない場面を設定し、実際にロールプレイを行う。
その際、それぞれの役割を決め、グループ内で演技するとともに、立場による敬語の違いについて話し合わせる。
◆各種検定試験の面接の応答
◆会社にかかってきた電話への応答
〔確認問題(2)〕
A君は、次の用件を担任の先生に伝えるよう、母親から頼まれた。敬語の使い分けをよく考えて、正しい言い方に直しなさい。
◆PTAの役員会のことで、今日四時ごろ学校に行きたい。もし、都合がつかない場合には、当方に電話をかけてほしい。
〔確認問題(3)〕
次の文は、敬語の使い方に誤りがある。正しい言い方に直して言ってみよう。
ア 駅でお待ちしてください。
イ お父さんは、おでかけになっております。
ウ うちの会社の部長さんは、御欠席していらっしゃいます。
エ ピアノの先生が私のほうを拝見した。
口語と文語の比較
【例(1)】
次の傍線部について、文法的に説明しなさい。
また、意味を考えてひらがなを漢字に直し、丁寧に朗読しなさい。
なのはなばたけに いりひうすれ
みわたすやまのは かすみふかし…
(「朧月夜」)
〔中学校・口語文法指導のポイント〕
中学校においては、「敬語とは丁重な言葉遣いのことである。」と説明されている。実際の場面を想定することにより、敬語を体得させることが求められる。とりわけ謙譲語については、「申し上げる」などの例を用いて具体的に説明する。高等学校における敬語の基礎を培う意味でも生徒が納得するまで支援していきたい。また、人物関係を図示することにより、理解が深まる場合がある。
○敬語の三種類
1)尊敬語(話し手が第三者や相手のことについて敬意を表す敬語。)
◆校長先生がおっしゃる。
2)謙譲語(話し手が自分や自分の側の人の行為をへりくだって表現することで、相手に敬意を表す敬語。)
◆担当の者が今参ります。
3)丁寧語(話し手が直接聞き手に対して丁寧な気持ちを表す敬語で、専ら聞き手に対して使うものである。)
◆わたしは中学生です。
〔高等学校・文語文法指導のポイント〕
中学校で学習する敬語について、三つの種類とそれぞれの敬語の基本的な言い回しを確認する。その上で、口語との比較をしながら用例を示して説明する。敬語によって人物関係が明確になることを実感させ、古文の読解と敬語とが直接結びついていることを理解させる。
○古文における敬語
尊敬語と謙譲語の区別が理解の鍵になる。
1)尊敬語
◆かぐや姫いといたく泣きたまふ。
2)謙譲語
◆ただ一人、徒歩より詣でけり。
3)丁寧語
◆年ごろ思ひつること、果たしはべりぬ。
■最高敬語(二重敬語)
「せ給ふ」「させ給ふ」など
■絶対敬語
「奏す」「啓す」
■二方面に対する敬語
「参り給ふ」「奉り給ふ」など
〔高等学校古典入門期・指導のポイント〕
○口語との相違点(中学校教科書より)
1)仮名遣いが違う。
◆語中・語尾のハ行。
◆五心音図・いろは歌の確認。
2)用言の活用が違う。
◆動詞、形容詞、形容動詞
〔古典入門期・指導における配慮事項〕
○文法の有効性に触れること
古典学習の入門期においては、文法理解が古典読解・鑑賞に有効であることに気づかせることが大切である。
ささいなことでも、自分の力で発見することにより興味がわいてくるので、現在に