サクシード2中学校国語から高等学校国語へ-066/81page

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創作への誘い 4)
詩人になりきって訳詞をつくる

 漢詩の解釈は、形式・語句の意味・心情・情景・主題を中心に行われます。それに訳詩を用いて直訳から意訳へ、そして、自己表現(自由訳)へと結び付ける実践を授業の中で行い、生徒の創作意欲を喚起した実践例です。

●訳詩の方法
?直訳 作品中の言葉で訳してみる。
?意訳 作品から感じ取ったおもしろさが伝わるように自分の言葉に置き換えて表現する。
?自己表現 部分によっては?・?をこわし、作品のテーマに沿って自分の表現で全体(自由訳)を作り上げる。

●漢詩の例
尋胡隠君
      高 啓
渡 水 復 渡 水
看 花 還 看 花
春 風 江 上 路
不 覚 到 君 家

胡隠君を尋ぬ
       高 啓
水を渡り 復た水を渡る
花を看 還た花を看る
春風 江上の路
覚えず 君が家に到る

●生徒訳詩例
幾川も幾川も渡る
 幾度も幾度も桃の花を見る
  私の背中を春風が押して
    気づいたら君の家だ

自然はいいものだ
 いくら見ても見飽きない
 その自然に見とれていると
思いがけず
君の家に着いているではないか

いくつもの人なき小川に足を踏み入れる
花を見る 限りなく美しく限りなく咲き乱れた
春風は僕の心に届いて
言えることは
君の家の前に僕がいるということだけ

参考

勧 酒
      干武陵
勧 君 金 屈 巵
満 酌 不 須 辞
花 発 多 風 雨
人 生 足 別 離

酒を勧む
      干武陵
君に勧む 金屈巵
満酌 辞するを須いず
花発いて風雨多し
人生 別離足る

コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

(井伏鱒二「厄除け詩集」より)

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