平成12年度福島県中学校新教育課程説明会要項-015/64page
ア 数学的活動と数学学習の意義
数学の学習で大切なのは、観察、操作や実験を通して事象に深くかかわるという体験を経ること、これを振り返って言葉としての数学で表現し吟味を重ねさらに洗練させていくという活動である。数学の学習はこうした活動を通して、数学や数学的構造の認識にいたる過程ととらえることができる。観察、操作、実験による体験を振り返り数学的認識を漸次高めていく活動は、自らの知識の再構成に他成らない。
活動を通して数学的な命題に気づき、確かな根拠の基にこれを論理的に考察し、数学的認識を次第に高めていく。こうした数学的活動を通して、現象世界の背後に厳然として存在する数学の秩序を知り、数学の世界でのみ経験できるこの認識の確かさを体験するのである。数学学習の意義はここに見いだすことができる。
こうした経験によって得られた数学的知識は価値がある。さらにまた重要なのは、そのときに身に付けた、知識を獲得する方法、また、知識を構成する視点である。これこそ新たな問題場面における問題解決の有効な手がかりとなり、新たな問題発見につながるとともに、新たな知識の獲得を促す源となるものであると考える。新たな知識の獲得やより深い数学的認識は、自らの活動による数学的な経験に応じて得られるのであり、ここに積極的な問題解決的学習の展開とそこでの数学的活動の充実が求められるゆえんがある。
イ 中学校数学科の内容の骨格
(ア)数の概念及び数の拡張の理解
(イ)ユークリッド空間の把握
(ウ)関数の理解
(エ)文字式の使い方の基本の会得
(オ)演繹法の理解
2)領域の構成
領域の構成は現行どおり「数と式」、「図形」及び「数量関係」の3領域とする。
数学の目標においても示されているように、数量や図形は数学学習の対象として明確に位置付けられている。したがって、普遍的かつ基礎的な内容め領域として「数と式」及び「図形」が挙げられるのは当然であり、現行でも多くの時間がこの2領域の指導に当てられている。
「数量関係」は数学的な見方や考え方と数学を活用する能力の伸長を目指すための領域として設定されている。数学的な見方や考え方を十分に発揮できるようにするとともに、関係を積極的に数学的考察の対象とすることが必要である。
3 指導計画の作成と内容の取扱い
今回の学習指導要領の改訂では、指導内容を厳選し、ゆとりをもって学習できるようにすることが特に重視されている。したがって、厳選によって生まれたゆとりを生かし、下記に示す事項に十分配慮して指導計画を作成することが大切である。
(1)指導計画作成上の配慮事項について
この項目では、各学年の目標に支障のない範囲内で、各学年で取り扱う内容の一部について学