平成12年度福島県中学校新教育課程説明会要項-022/64page
「活動」、「心情」、「感性」、「基礎的な能力」、「情操」とその順序を変え、生徒が楽しく音楽にかかわることを一層重視して、活動の次に心情を置いている。
○現行で示していた「音楽性」については、これまで以上に指導を具体的にするため「音楽活動の基礎的な能力」とした。
○「基礎的な能力」とは、生涯にわたって楽しく充実した音楽活動ができるための基になる能力を意味する。それは音楽を形作っている諸要素を感受する能力である。
○「諸要素を感受する能力」とは、音楽の構造的側面を知覚し、それらの働きによって生まれる曲想や美しさを、イメージをもって感じ取る能力である。
(2)学年目標
○学年の目標や内容については、これまでと同様「第1学年」、「第2学年及び第3学年」の構成とした。
○これまで、「(1)表現領域」「(2)鑑賞領域」「(3)情意面」となっていたのを、教科目標の柱と同様に「(1)情意面」「(2)表現領域」「(3)鑑賞領域」と順序を入れ替え、生徒がまず音楽に関心をもち、楽しく学習にかかわることの意義を強調した。
○(1)は「情操面」に関する目標である。
・学習活動の対象となる「音楽」に「音」を加えて示したのは、音楽の素材としての音は幅広く多様であり、楽器や声などの他に環境音などについても、興味・関心をもたせることとする趣旨によるものである。
○(2)は「表現領域」について示した目標である。
・音楽表現の豊かさや美しさは、音楽の感性的側面の内容である。表現においては単に技能を高めるのではなく、その音楽のもつ豊かさや美しさを感じ取り、それを技能によって表現させていくことが大切である。
・「音楽表現の豊かさや美しさを感じ取る」ということは、音楽に対する感性を培うことへ直接つながっている。その指導にあたっては、音楽の豊かさや美しさというものは、一様に価値づけられているものではないということに留意しなければならない。つまり、すべての生徒が同じように豊かさや美しさを感じるものでもなく、ある生徒は美しいと感じても、別の生徒がそう感じなかったりすることも起こり得るのである。生徒一人一人が感じとった豊かさや美しさは、その生徒がその音楽とのかかわりから導き出した、独自なものなのである。
「基礎的な表現の技能」は音楽表現の豊かさや美しさを感じ取って表現するための基礎となる技能である。そして、そのイメージを感受性とのかかわりを保ちながら、音によって表現するために必要な発声の仕方や楽器の奏法などを身に付けることである。
・「創造的な表現の能力」は「基礎的な表現の技能」を基にイメージをさらにふくらませたり、表現に工夫を加えたりする能力である。生徒が感じる豊かさや美しさはそれぞれ生徒固有のものである。それを表現に生かすための工夫や技能の習得は、それ自体、創造的な表現活動であると言える。そうした過程を経て、生徒が自分なりのイメージや意図を表現するための技能を身に付けていくことが、「創造的な表現の能力を養う」ということである。
○(3)は「鑑賞領域」について示した目標である。