教育福島0001号(1975年(S50)04月)-044page
福島の文化財
県指定重要文化財
旧馬場家住宅 一棟
所在地 耶麻郡猪苗代町大字三ツ和字前田三三番地の一
所有者 渡部 ◆
木造平屋建て・寄棟・かや葺き・中門付
もと南会津郡伊南村大字小塩字持石七五〇番地にあって、解体されたときの居住者である馬場哲夫氏の居宅であり、建てられて以来主として農業を営む住宅として使用されて来た。家系等については、あまり古くて明確ではないが、この部落最古の住居との口伝や、付近の解体済み住居の口伝などからみて、わりあい早く出現した本百姓であったとみられる。
建築年代を証する資料は一切発見されていないが、奥会津地方の同種住居と比較編年した範囲では十八世紀前半一七二〇年ごろの建築であるとしてよいであろう。享保三年のほぞ書きの出た只見町旧五十嵐家住宅(重要文化財)とほぼ同じ時期のものらしい。
この住宅は、会津農民住居の古い遺構の一つであるばかりでなく、うまや中門に至る以前の中門形式を残し、また「こざ」と「おめい」と「つきにわ」の関連間取りなど、多くの特徴を明示している重要な遺構である。