教育福島0006号(1975年(S50)10月)-005page
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巻頭言
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福島県教育庁保健体育課長 高崎 剛
ミクロの世界にも老化を防ぐ秘密がある
私たちの筋肉の約七十パーセントは足にあると言われている。歩かなければ、この筋肉は委縮してしまう。
私たちの動きの中で、最も基本的な歩《動作を、現代人は車に代行させてしまっている。足を軽視すると「運動不足」というお返しがはね返ってくる、それが、太りすぎ、ストレスなどと重なって、各種の疾患を起こしやすい状態になる。
自分の体力を失うことで、豊かな生活をあがなうのは、本末転倒であり、経済成長のカゲにかくされた深刻な「ひずみ」であることは、間違いない。
しかも、週休二日制が叫ばれ、余暇時間が増えつつあるときに、このような現象が同時に進行しているという事実は、驚くべきことと言わねばならない、
では、運動不足を克服する方法はというと、それは『運動すること』につきる。最も身近にできることは、文字どおり「歩く」こと「走ること」以外にない。
毎年、山中湖畔で開催されている高齢者長距離全国大会の際、某大学の運動生理学教室で行った走者の走る前と後の血液、血圧、尿検査などの健康診断の結果を見ると、積極的な鍛練をすることによって、百八十〜二百あった血圧は百四十に下がり、軽い糖尿は走るとストップする。また、赤血球については、寿命がきて壊れて造られる赤血球より、鍛練、いわゆる長距離走などをすることにより、壊されて造られたもののほうが、より活力のあるものだと言われている。
走るということが、このように、ミクロの世界にも変化をきたし、老化を防ぎ若さを維持する秘密であることが立証されている。
老化の進行にブレーキをかけ、体力づくりにも意義のある「歩く」「走る」ことを生活の中に取り入れたいものである。
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