教育福島0007号(1975年(S50)11月)-044page
福島の文化財
重要文化財
石造笠塔婆 一基
郡山市堂前 如宝寺
笠塔婆は凝灰岩製で、塔身上部の龕には、蓮台に跌座し定印を結ぶ阿弥陀如来が半肉彫されている。塔身下半中央に「承元二年大歳戊辰八月十一日」左右に「右志者為慈父也」「□主華慶造立」の銘がある。塔身上に方形の屋蓋と宝珠がある。塔身前には二本の角柱があったこん跡がある。塔身背面には種子曼茶羅が陰刻されている。
この承元二年供養塔は、その構造が餓鬼草子に見える笠塔婆の系統に属しこの形式における追善供養塔としては我国最初のものである。貞永以後において関東北に盛行したいわゆる板碑の名で知られる供養塔建立の先駆原流をなすものであって、最もよく保存され奥羽地方唯一のものであるばかりでなく、全国的にも類例希なものである。
塔身右側面の銘は、古来明らかにされていない。