教育福島0009号(1976年(S51)02月)-004page

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昭和51年度学校教育をすすめるに当たって

福島県教育庁参事兼義務教育課長 古関富男

経営方針を立て、それに基づき教育課程の編成が進められていることでしょう。

 

各学校においては、現在、昭和五十年度の教育活動の反省と、明年度の諸計画立案について検討を進められている時期であろうと思います。そこでは学校の教育目標の具体化について、全教職員はもちろん、保護者等の意見も加えられるようなあり方を工夫されて次年度の経営方針を立て、それに基づき教育課程の編成が進められていることでしょう。

学校の教育活動は、その学校の教育目標の達成に向けて集約されていくのですから、目標の設定は慎重でなければなりません。次に、目標達成への具体策をたて、種々の条件整備をすることが重要となります。また、すべての教育活動のどこで、どのような指導を強調すべきかを明確にする必要があります。更に、単に各教科指導にのみ重点を置くことなく、道徳や特別活動等の指導についても十分な配慮のもとに、調和のとれた計画の作成が要求されます。

教育課程審議会は昭和五十年十月十八日に「教育課程の基準の改善に関する基本方向について」の「中間まとめ」を発表しました。今後、各学校段階についての具体的な審議を行い、秋には答申を出す予定とのことです。それに基づいて学習指導要領の改訂が実施されることになります。来年度は、わが国の学校教育の内容についての基本的な検討が加えられ、その軌道の修正が行われる重要な年になります。

ひるがえって、本県の財政事情を見ますとき、その実情は極めて厳しく、諸経費の大幅な削減等、かつてない困難な事態に直面しております。消費奨励の時代における物質万能の思想は、自己中心的志向や克己心の弱さ等とあいまって、青少年の衝動的行動を助長させてきました。これからは、節約の美徳や自律、自制の態度の重要性が提唱され、そうした中で、社会的連帯感や自然愛、友愛等が強調されることになるでしょう。そして、なににもまして「人間性の豊かさ」が要望されるものと考えます。

県教育委員会は、このような情勢を踏まえて昭和五十一年度学校教育指導の重点施策を策定しました。そして、これが実現のため、各種研修会の実施や指導資料の作成等具体的事業を検討中であります。各学校におかれては、それぞれの実情に応じて、学校の課題を明確にし、それが解決のため、全教職員の共通理解のもとに具体的施策を講じ、その実現への努力を続けられるようお願いいたします。

また、調和のとれた学校運営を目指して、校内の運営組織を整備充実させすべての教職員がそれぞれの職務を自覚し、責任を果たし、自主性と創意性を発揮して積極的な教育活動を展開していかれるよう期待するものであります。

私たちは、この複雑多様な近代社会の中で、人間育成という課題を担う学校の役割の重大さを認識し、一人 人の児童生徒の心に残る内容を心に響く方法で指導できるようにするため、お互いに精魂を傾けていきたいものです。

 

 

 


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