教育福島0009号(1976年(S51)02月)-010page
算数・数学
算数・数学教育の中心課題である「数学的な考え方」を育成するには、数学の基礎的な知識や技能をじゅうぶん身につけさせ、これらの知識や技能が新しい問題解決に生きて働くよう指導することかたいせつである。また、児童・生徒にとって、算数・数学の学習が楽しく展開されるよう、教材・教具の研究、学習指導法の改善によって児童・生徒の興味・関心や学習意欲を高め、わかりやすい授業を目指して努力することが必要である。
「数学的な考え方」の育成
そこで、図に示したように、数学の基礎的な知識・技能、特に、計算力を高めることを中心にして、ゆとりのある学習指導計画を立て、ねらいに即した教材を精選し、児童・生徒がわかりやすい学習指導を工夫することによって、「数学的な考え方」の指導をなおいっそう確かなものにしていくことが望まれる。
小学校
一、算数の指導体系や各領域の関連をじゅうぶん考慮し、ゆとりのある指導計画に改善する。
(学) 児童の能力を的確に捕らえ、児童が学習しやすい計画の作成に努める。
(二) 算数の指導体系や各領域のねらい内容を的確には握し、内容の相互関連をよく考え、時間に余裕を持たせた計画を作成する。
(三) 数量や図形に関する基礎的な知識の習得と基礎的な技能の習熟に重点を置いて計画する。
二、個々の内容のねらいや取り扱いの程度を明確に捕らえ、・指導内容の統合を図り、教材を精選して指導効果をあげる。
(一) 算数の目標、学年の目標、単元の目標を明確に押さえ、指導内容がどう発展していくものなのかを的確には握し、教材を精選する。
(二) 低学年では、具体的な生活経験の中から、数・量・図形の概念を抽象し、基礎的な理解や経験を得させ、しだいに数学的な見方が身につくように指導する。
(三) 中学年では、数範囲の拡大とあいまって、法則や原理的なものへの関心を高めたりして、物事を筋道を立てて考、えるように指導する。
(四) 高学年では、これまでに学習したことを基にして、観点を高めてまとめたり、実際の場に能率よく活用したりすることができるように指導する。
(五) 集合は、どの学年、どの領域においても、その見方、考え方ができるようにする。
(六) 関数的な考え方は、数量・図形の指導の中で、二つの集合の依存関係に着目したり、集合の要素を順序よく変えて、対応のしかたを調べたりするような指導を工夫する。
三、基礎的な知識・技能、特に計算力を高め、「数学的な考え方」を伸ばす指導をいっそう充実する。
(一) 基礎知識の理解や基礎計算については、じゅうぶんに練習させ、定着を図るように指導する。
(二) 既有の経験や知識を新しく学習しようとするものに適用、発展させて考えることができるようにする。
(三) 数学的な用語や記号を正しく用いて、事柄を簡潔にまとめたり、抽象化や一般が図れるようにする。
(四) 既習のいくつかの事柄を、別の観点から見直したり、統合的な考え方ができるようにする。
四、児童がわかりやすい学習指導への改善を図り、学習意欲を高める。
(一) 児童自身が発見的、創造的に学び取ることができる学習のしかたを指導する。
(二) 児童の能力の段階に応じた学習目標を設定したり、児童自身が学習の成果を正しく評価し、積極的に取り組むことができるような学習指導を工夫する。
中学校
一、数学の指導体系や各領域の関連をじゅうぶんに考慮し、ゆとりのある指導計画に改善する。
(一) 生徒の能力・適性等を的確には握し、生徒が学習しやすい計画の作成に努める。
(二) 数学の指導体系や各領域のねらい内容を的確には握し、内容の相互関連をよく考え、時間に余裕を持たせ