教育福島0011号(1976年(S51)06月)-041page

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やさしい教育法令解説

 

育児休業法について

 

現在、女子教育職員に対する保護制度としては、例えば妊娠中の通勤緩和産前産後の休暇、育児時間、深夜業の禁止等が認められている。しかし、女子教育職員の中には、その職務に慣れた時期において、出産や育児のため中途で退職する者や、退職しないまでも育児という負担を伴っているため、じゅうぶんその職務に専念することが困難な実情こある者も少くなかった。このような事情から、産後の休暇が終了した後、さらにその一歳に満たない子を養育するために、一定期間職務に従事せず育児に専念するための制度が生まれた。すなわち、「義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律」である。この法律は周知のとおり、昨年七月三日に議員立法として成立し、この四月一日から実施されている。

一、本法の趣旨

この法律は、小学校・中学校・高等学校、盲学校・ろう学校、養護学校それに幼稚園(以下「義務教育諸学校等」という。)に勤務する女子教育職員の職務の特殊性等から、これらの者について育児休業に関する制度を設け、育児に専念せしめるとともに、休業期間後は職場に復帰することによりその継続的な勤務を促進し、学校教育の円滑な実施を確保することを目的としている。

二、対象者

国、公立の義務教育諸学校等の女子教育職員(この法律で教育職員とは、校長、園長、教頭、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師、実習助手及び寮母をいう。但し、非常勤職員、臨時職員、条件付採用期間中の者は除かれる。)で、その一歳に満たない子を養育する者である。

ここで「子」とは、実子及び法定親族関係にある養子をいう。また「養育」とは、母親が子に対し通常行う程度の世話を専念して行うことをいい、自分の手元において育てているのが常態であることを要する。

三、育児休業の許可・期間

(イ) 許可

育児休業の対象となる者は、任命権者に対し休業期間を明らかにして、育児休業の許可を申請することができる。この場合、任命権者は、雇用のための相当の努力を行う等によっても任用すべき者が得られない等、代替え職員の臨時的任用が著しく困難な事情がある場合を除いて、休業の許可をしなければならない。しかし、当該申請に係る子について、既に申請者に対し育児休業の許可をしたことがあるときは、特別の事情がある場合のほか許可をしない。

(ロ) 期間

育児休業の期間は、申請の期間を尊重しつつ任命権者がその始期、終期を定める。(終期は、当該育児休業に係る子が一歳に達する日までの間にあることが必要である。)申請の期間は、合理的な理由があればその期間を、短縮することもできる。また育児休業の期間は、特別の事情のないときは一回に限り延長できる。なお、「一歳に達する日」とは、満一歳の誕生日の前日をいう。

四、育児休業の失効等

育児休業の許可は、許可を受けた教育職員が産前休暇に入った場合、出産した場合、又は許可に係る子が死亡したときは失効する。また養育しなくなった場合には休業は終了する。

五、育児休業の効果

育児休業の期間(育児休業の許可の効力が停止されている期間は除かれる。)中は、身分を保有するが職務に従事しない。従って、期間中に就労させることはできない。また給与は支給されないが当分の間は、法律又は条例の定めるところにより、必要な給付を行うことができることになっている。(現在未制定である。)

六、育児休業期間についての取扱い

(イ) 育児休業の期間は、期末手当算定の在職期間に含まれない。

(ロ) 育児休業の期間は、復職時における給料月額調整の対象として、1/2の割合で換算される。

(ハ) 育児休業の期間は、退職手当に係る勤続期間の計算について、その1/2を在職期間とみなされる。

(ニ) 地方公務員災害補償法による補償額の基礎となる平均給与額の算出については、育児休業の期間を基礎としない。

 

 

 


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