教育福島0012号(1976年(S51)07月)-017page

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業の不況傾向からの脱出好転を示すものといえよう。

県外のうち、東京都内への就職者実数は、前年度とほとんど変化がなかった。

定時制の場合、就業在学者が多いこともあって、県内定着率は著しく高くなっている。

 

大学入試改善の方向

−高等学校教育課−

 

大学受験のための競争の激化が、正常な高校教育に強いゆがみを与え、これが、ひきおこしている事態を憂慮する声は、しだいに高まっている。

そのなかで、文部省、国大協等が、大学入試制度の改善に積極的に取り組みつつあることは、喜ばしいことである。

現在、具体的に検討されている方策は、第一は一期、二期校の一本化であり、第二は共通一次テストの実施である。

以下国大協の入試改善委員会の検討事項について述べてみたい。

 

一、一期、二期校の一本化について

 

一期校三十二校、二期校四十八校の区分は、昭和二十四年以来ほぼ固定化し、子、の間に格差感が生じてきていることは周知のことである。

二期校に法学部が一つもないこと、一期校に理学部が十八校であるのに対して二期校では七校であることなど、構成のうえでもアンバランスを生じている。

このことが、二期校受験生について多数の欠席者や入学辞退者を生み定員確保に支障を与えている。

この問題は一期、二期校の区分の組み替えによって解消されるものではなく、結局は一期、二期校の一本化によらざるを得ないとの判断が大勢を占め一本化によって、一時期受験生に心理的な不安を与えるにしても、合格の最低ラインが下がることや募集定員に無駄をつくらないということからみて、むしろ受験生にとって有利であると判断されるようになってきている。

現在は、共通一次テストの実施との関連において、行政段階での処置が待たれているところである。

 

二、共通一次テストについて

 

四十八年度の調査研究を基礎に、四十九年度、五十年度と二年の実地研究が重ねられている。

現在、実施上の諸問題の大部分は検討を終え、いまや、結論をうるべき最終段階をむかえているということができる。

研究の成果は、五十年度、五十一年度の二度にわたって報告書にまとめられ、公表されている。

それによって、共通一次テストに関する事項はほとんど知ることができる。

ここでは、この報告書の説明懇談会において話題となった主な事項をとりあげ質疑応答の形で記述することにする。

 

(1) 共通一次テストの性格をどうとらえればよいか。「共通一次テストについては、入学者選抜の多元的要素の一つと考えており、高校卒としての資格試験とは考えていない。

国立大学自体が一体となって責任をもって実施しようとしている点はかつて行われた進学適性検査や能研テストとは明らかに異っており、共通一次テストが一時的な方策におわる心配はない。」

 

(2) 共通一次テスト、二次テストの得点を判定の材料とする場合、どのような比率で取り扱うことになるのか。「各大学が独自に基準を定めることになろうが、総合点で判定することには変わりはない。」

 

(3) 高校への進学率が九〇%を超えている現在、五教科七科目を課すことは過重ではないか。「高校の必修科目の限度内で出題する以上、むしろ高校教育の正常化につながるものと考える。

テストの性格からいっても、高校卒の資格判定の観点からのものと、大学入学資格判定の観点からのものとでは明らかに差があってしかるべきで、その差をうめる必要はないものと思う。」

 

(4) 共通一次テストについて、一発勝負をなくすという理由があげられているがどういうことか。

一期、二期の一本化と合わせて行われるということであれば、むしろ一発勝負ではないか。「大学の入学者選抜について、一回の試験だけでなく、多元的に資料を得て評価するということである。

一期、二期一本化のメリット、デメリットの問題とは別個に考えたい。」

 

(5) 二次テストの教科、科目数や内容によっては、受験生にとって負担が増大したり、二様の準備が求められることになりはしないか。「二次テストの内容について一応のガイドラインを設けたい。

二次テストでは専門性をみるにふさわしい科目を選ぶこととし、マー

 

 

 


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