教育福島0012号(1976年(S51)07月)-018page
クシート法(注)の弱点をカバーできるような論述形式や実技等を取り入れるように考えてゆきたい。
(注)解答の判定がコンピュータによって処理できるように、あらかじめ設計されたカード形式の用紙を用いた方法。
(6) 共通一次テストの結果の処理について、科目間の平均点や分散にデコボコが生ずると考えられるが、これについて調整することを考えているか。
「科目の性格もあって、デコボコを生ずる原因が難易度の差によるものとばかりいいきれないと思うが、大学の要求に応じてナマ点と偏差値のどちらでも渡せるようにコンビューータ処理をする。」
(7) 共通一次テストにおいて、職業科目の代替が考えられないか。「共通一次テストは、必修科目から出題するのであるから、どの学科の出身者にとっても共通であり、代替の必要はないと思う。二次テストにおいて考慮するようにしたい。」
(8) 適性の度合いを見る意味もあるので、各国立大における入試成績を出身高校の校長に知らせるような制度は考えられないか。
「一部の大学で、すでに実施しているところもあるが、すべての国立大学で実施するような共通理解は得られていない。」
(9) 早い時期に二次テストの要項を発表してほしい。
少なくとも一年前でなければ、科目の選択履修のうえで高校側の対応がむずかしい。
「このことについては、重要留意事項としてとりあげる。」
(10) 共通一次テストの出題に当たって高校側の参加は考えられないか。「選抜テストである以上、大学の責任において出題する。ただ、結果については、モニター等の意見が聞けるよう配慮したい。」
(11) 出願後、競争率などに応じて、出願先を変更できるような調整期間を設ける考えはないか。
「高校で行っているような調整は困難であろう。最初の出願の段階で、第一志望、第二志望を書かせ、共通テストの十日ぐらい前に志望大学を一本にしぼらせることを考えている。」
県立学校における進路指導改善の方向
−進路指導担当者研修会から−
本年度の県立学校進路指導担当者研修会は、五月中旬の三日間、県教育センターを会場として開催された。
講演・研究発表・講義などのほか、各参加者の資料による研究協議に多くの時間をとった。
研究協議は、次のように三分科会に分かれて行われたが、資料を手がかりとして、指導改善の努力の一端を紹介しよう。
第一分科会
「進路指導における観察・相談指導はどう進めたらよいか」
(その一) 原町高等学校
進路指導が、単に進学か就職かの目的達成のみに終始するだけでなく、生徒の立場に身をおいて、生徒の、心情や行動をその内面から理解する,)とがたいせつである。
生徒理解の留意点は、教師間でよく話題となる次の三点に要約できる。
一、まず、生徒の顔と名前を覚え、それが一致するように努めることこれが生徒との間に好ましい人間関係を生じる基礎であること。
二、放課後の教室・清掃の時・校庭等短時間でいいから、多くの機会をとらえて生徒と話し合うこと。
平素お互いの交流が背景にあることが、やがて生徒が本当の問題を直視して相談をするよりになること。
三、生徒の悩みの統計にあるように生徒の悩みの相談相手は友人が圧倒的に多く、教師は極めて少ない。
学校全体・教師自体としても、生徒同志の交流がよく行われやすいように学校環境を作りだすことがたいせつである。
以上三点を土台として、進路指導部としての年間計画があるが、質的に多様化してきた生徒の進路指導を効果的にするために、年間実施される多くの行事の中に、どの程度の真に必要な進路に関する調査・検査・観察についての指導を組み入れるか、また、それ等についての情報・資料を収集選択してどのような形にして学級担任を中心として、学級全体に提供するかが、重要な課題と考える。
(その二) 二本松工業高等学校
進路の選択は、生徒自身の職業観、職業の内容・特色・条件等への理解が深められ、自己の適性・能力などの実態が、客観的には握される自己理解がなされたときに、正しく行われると考える。したがって、生徒の自己理解を深めるための具体的指導が、きわめてたいせつなこととなってくる。
自己理解を深めさせるための方法としては、次のことが考えられる。