教育福島0012号(1976年(S51)07月)-044page
福島の文化財
県指定重要有形民俗文化財
会津の製◆用具と製◆小屋
耶麻郡猪苗代町大字三ツ和字前田33番地
会津の製◆用具コレクション及び製◆小屋は、実落とし作業関係用具十四点、木の実つき十九点、木の実ふかし五十四点、蟻しぼり七十五点、◆かけ五十九点計二百二十一点のほか製蟻過程からから成っており、製◆過程からみて、用具は欠けるところなくそろっている。
会津は藩時代、藩の奨励があって藩内に漆樹を植え、幹から漆液をとって漆器を作り、実から◆をしぼって◆燭をつくる二大産業に力を入れた。たいせつな年貢にもなっていたために専売制をとり、保護されると同時に厳しい取り締まりのもとにおかれていた。
明治以後、電燈の普及で蝋燭の需要は激減し、漆もまたこれらに代わる新材料におされて衰微の一途をたどった。このコレクションは、昭和四十年頃まで実際に用いられていたもので、恐らく我国最後の漆の主産地に、原始的製法として残った最後の用具類と思われる。
また、釜屋と呼ばれた製◆小屋は、藩時代会津領内に数多くあって、釜元に管理されていたが、この釜屋は耶麻郡高郷村小ヶ峰にあったものを、昭和四十七年十月会津民俗館に移築復元したもので、今に残る会津唯一のものである。
(製◆小屋)
(製◆小屋内部の用具)