教育福島0013号(1976年(S51)08月)-041page

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やさしい教育法令解説

学校管理規則について

 

一 はじめに

調和のある学校運営を図り、学校の教育指導面を充実させるものとして、「主任等」が学校教育法施行規則上に定められました。その際に、「主任等」は学校の組織編制に関する基本的事項に該当するものであり、従って、「学校管理規則」に、その設置、職務等にっき規定を整備する必要があると言われたことから、にわかに「学校管理規則」がマスコミ上注目されたことは、周知のとおりです。そこで、「学校管理規則」は、どういうものであり、どういう根拠に基づき定められるのか、さらにその法的性質や効果等について考えてみたいと思います。

二 学校管理規則の意義

学校の設置者は、国や地方公共団体それに学校法人の三者に限られますが設置者は、学校を管理し、原則として学校の経費を負担することになっています。ところで、地方自治法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という。)をみますと、地方公共団体の設置に係る学校の管理に関する事務は、教育委員会の職務権限として明示されており、実際に学校を管理する機関が、教育委員会であることがわかります。(ここで「管理」とは、学校の存立を維持し、その本来の目的をできるだけ完全に達成せしめるために必要ないっさいの作用をいうものと考えられます。)そこで、教育委員会の行う学校管理をみますと、職員の人事等に関する人的管理、校舎その他の施設、設備等に関する物的管理、それに教育課程、教科書その他の教材の取り扱い等に関する運営管理という三つの側面があるといえます。また、この学校管理については、学校管理の秩序を図ることやその運営を適正且つ効果的にするため、また教育委員会と学校の事務の分担関係を明らかにすることにより、学校に必要な一定限度の主体性を持たせるという意味で、あらかじめ教育委員会においてその管理の方針を明示しておくことが必要且つ望ましいといえます。このような趣旨から、前述のような学校の管理運営の基本的事項について、教育委員会規則が定められているわけです。これがすなわち「学校管理規則」といわれるものです。

三 学校管理規則の内容

教育委員会の学校管理には、三つの側面があることは、さきに述べたとおりですが、これを「福島県立学校の管理運営に関する規則」についてみますと、例えば人的管理としては、職制(第二章)、服務(第六章)、校長の内申(第四十八条)等、物的管理としては学校施設等の管理(第八章)、運営管理としては、休業日(第四章)、教育活動(第五章)等となります。

なお、地教行法は、「学校管理規則」には教科書以外の教材の使用について規定を設けることを義務付けています。

四 学校管理規則制定の根拠

「学校管理規則」の内容は、前述のように学校という営造物(国又は公共団体が公の目的に供用する人的手段・物的施設の総合体を指して用いられています。地方自治法上の「公の施設」の内容と同じものと考えてよいと思います。)の管理上必要な事項であります。

ところで、地方公共団体の長や執行機関が定立する規範を一般に行政立法といいますが、これには一般国民の権利義務に直接関係する性質を有する規範たる法規命令と、それ以外の行政規則があります。行政規則の性質を有するものは、特に法律上の根拠を必要とせず、行政機関において一般的に制定することができます。「学校管理規則」は、まさにこの行政規則の性質を有しています。従って地教行法第三十三条は、教育委員会に対して、「学校管理規則」を「教育委員会規則」で制定することを義務付けた点に意義があるといえます。なお、「学校管理規則」の制定について留意すべき点は、規定の内容が予算を伴うものであるときは、長と協議する必要があるということです。

五 効果

ここで効果というのは、「学校管理規則」に抵触した行為が行われた場合、いかなる法律上の効果が生じるのかということです。教職員の場合について考えてみますと、地方公務員法第三十二条は、職員に対して地方公共団体の機関の定める規程を遵守すべき旨定めています。ここで定められている「規程」には、「学校管理規則」も含まれますから、これに違反すれば行政上の責任が問われることになります。

 

 

 


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