教育福島0013号(1976年(S51)08月)-040page

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図書館コーナー

 

地域・家庭・子供文庫の紹介(2)

いわき編

 

先号に引きつづき、本号では、いわき市勿来地区の文庫について紹介しましょう。

○文庫をはじめた動機

昭和四十七年六月、子供たちに良い文化環境をつくろう、とそれまで細々と個人的に行われていた家庭文庫が集まって、第一から第三までの「なかよし文庫」として発足。家庭文庫から地域文庫への発展である。当時の状況をお母さんがたは次のように話す。

「自分たちで作っている婦人の会で今の子供をとりまく文化のことが問題になり、自分たちで少しでも子供だちに良い環境を、と会員及び会員外にもよびかけて、家にある本を持ちより文庫が誕生。その時文庫の運営を会でやるか個人でやるか意見がわかれ、個人にゆだねたため二か月後に開店休業。一年後に子供の要求などもあり再開。同時に第二文庫をつくり、会の中から世話人を選び、大衆カンパもうけて新刊書を購入した。この時から本の貸し出しばかりでなく、読みきかせを行事としてもち、半年後に第三文庫ができた。文庫の株分けをしたのは“子供の手近に良い本をおいてやりたい”という考えから……。」と。

当時、子供の利用者は二百名。それに保護者で組織する「文庫を育てる会」が三十二名の会員。世話人は九名であった。本の貸し出しのほか、月二回読みきかせの会、年二5三回、育てる会の行う子供の本の学習会、それに児童文学者などを招いて行う講演会、さらにクリスマス会とか紙芝居、ゲーム会等々、バライティーに富んだ文庫活動を行ってきた。

時あたかも、「勿来地区に図書館をつくる会」という住民組織による運動が盛り上がっている時期でもあったがこの組織は、図書館設置が決定されると同時に解散されたが、その後を引き継ぎ、図書館活動の実質的な部分を支えて今日に至ったかの観さえあるのがこれらの文庫活動である。というのも図書館奉仕の原点とは何かを常に図書館に対して提示し、児童に対する図書館奉仕の重要性についても、身をもって指針を与えてきたのが文庫活動であるからである。図書館と住民の関係を考える時、このことはたいへん重要である。

○現況

文庫が発足して既に四年余。その存在意義も、社会的に大きく認められ、利用者の数も飛躍的に増大した。現在は、先の三つの「なかよし文庫」が発展解消して「なかよし」 「かぜの子」 「ともだち」 「ひまわり」 「中岡子供」の五つの文庫になった。県立図書館、勿来図書館等から図書の援助も受けられるようになり、発足当時、新刊書購入資金ねん出のため、廃品回収のアルバイトまで行ったようなことはなくなった。また、公民館や地区の集会所を無料でかりることも可能になった。さらに、五十年の八月には五つの文庫で「勿来子供文庫連絡会」を結成し、相互.の情報交換、会報の発行、行事の共催等々を行いつつ、質量ともに発展をみている。しかしながら、相変わらず悩みは尽きず、運営費のこと、慢性的な蔵書不足のこと、運営にあたる人の問題等々克服していかなければならない問題は山積している様子。だが「子供たちに読書のすばらしさ、豊かさを知ってもらうことの重要さを考えるとやりがいを感じます。」というあるお母さんの言葉は、私達の胸を強く打つ。

いわき市には、この他、平、四倉地区等でも文庫活動を行っているグループがあるが、他の機会に譲りたい。

 

なかよし文庫会報

 

第4号

1974・8・17

なかよし文庫を育てる会

子供たちの長い夏休みも、あとわずかとなり、親子ともどもたのしかったおもいで話に花をさかせていることと思います。

さて、かねてから懸案の子供の本研究会を左記の要領でおこないますので、会員のかたがた、会員以外のかたがた(大歓迎)それぞれおさそい合わせのうえ多数ご参加ください。

 

一日時 八月二十二日(木)午後一時半〜午後三時半

一場所 植田公民館二階

一テーマとする書名と問題提起者

1「山のかあさんと十六匹のねずみ」

大川悦生作・赤羽末吉絵

○長いお話をどう読ませるか 小貫つるよ

2「おにたのぼうし」

あまんきみこ文・いわさきちひろ絵

○心情のくみとらせ方と読みきかせの技術

木村ハル子

3「ミコ」  斎藤隆介作・滝平二郎画

○民話をどうとらえ読ませるか 小野 正子

 

お知らせ

 

世話人の一人でありました工藤滋子さんが、ご主人の転勤のため東京に越されました。大変残念ですが、新地でのこ活躍を期待したいと思います。お別れの記念にと、「おにたのぼうし」二冊を寄贈されました。さっそく、文庫で利用させていただいております。

 

 

 


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